不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「ゆ、悠太くん……!?」
入園して早々別行動はまずいんじゃないかと思うほど、悠太くんは3人とは違う方向へ進んでいく。
「流れるプールに入るってことは一緒だろ?
あいつらが入るところ、人がかなりいたし……
こっちのほうが少なくて楽しめそうじゃん。」
悠太くんは、比較的人の少ない流れるプールの区画で立ち止まった。
「どうせ繋がってんだから、この辺にいたら合流できるだろ。」
「そ、そうだけどさ……」
みんな怒ってないかなと、気になるわたし。
そして、悠里と颯真の2人も……。
わたしがいないところで、楽しそうにしてる光景が目に浮かんで、苦しくなる。
「………………。
……ほらっ!!」
「……えっ?
きゃぁぁっ!!」
悠太くんに軽く背中を押されて。
わたしは心の準備をする暇もなくプールの中へダイブ。
回りのお客さんも、びっくりしてこっちを見ていた。
「ちょっと!!
心臓止まったらどうすんの!!」
「ははっ。
水着のことももう気にならなくなったろ。」
わたしの頭上でしゃがみこみ、楽しそうにこっちを見ている悠太くん。
まぁ確かに、その通りで。
「楽しもうぜ。」
きっと悠太くんは、わたしの胸のうちに少し気づいてくれていたのかもしれない。
せっかく来たんだから……
全力で楽しみたい。
「……えぃっ!!」
「……はっ?
うわっ……!!」
悠太くんの手を引っ張り、水の中へ引きずりこむ。
ドボーン!!と大きな音がして、わたしにも大きく水がかかって。
プールへ引っ張られた悠太くんが水面から顔を上げる。
「明里ひでぇ……!」
「お返しだよ……!」
楽しい1日になりそうだって。
そう思ってた。
だからーー
この日、わたし達の恋模様が、大きく動き出すことになるなんてーー
このときはまだ、思ってもみなかった。