不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
わたしはもう、前に進むって決めたんだから。
「明里。」
「うんー?」
「この前さ、テレビで"もしも"番組やってた。
見た?」
ようやく見つけたフロートのお店で、わたしと颯真は注文をし終え、ドリンクを待つ。
そのとき、颯真は隣にいて、唐突に切り出した。
「"もしも"番組?
いや…先週は見てないかな。」
"もしも"番組は、最近人気が出てきてる、"もしもこんな場面だったらあなたはどうする?"
というコンセプトの番組。
ゴールデンの時間で、結構人気なんだよね。
……って。
「なんでこんな話?」
「もしもお前が、一人孤島に行くとする。
でも、身近の誰か一人だけを連れていける。
他の人とは一生会えない。
お前ならどうする??」
わたしの問いかけもきかず、唐突に質問してくる。
「な…なに?急に。」
「いいから。お前ならどうする??」
どうする……って。
「孤島なんて行かない。」
「馬鹿。お前それじゃ質問にならねぇだろ。」
そう言って颯真は、ははっと笑った。