不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「ふふ……」
わたしの気分は浮上していて。
颯真を見て、苦しくなくなる日も、そう遠くないかもしれない。
今でも、少し心は軽いの。
そのことが、なにより嬉しかった。
「そう言う颯真は?
誰を連れてくの?」
「……俺はーー」
わたしが泣きそうになってるとき、悠太君がそばにいてくれたから。
隣で笑っていてくれたから。
わたしの心の溝を埋めてくれた。
だから、こんな質問だって出来たんだと思う。
「あ。言うまでもなく悠里?だよね?」
歩いてるうち、みんなとの待ち合わせ場所が見えてくる。
残りの3人が、食事を広げてるのが見えた。
「俺が連れていきたいのはーー
もっと、隣にいることが自然だと思えるやつ。」
「……え?」
「好きって気持ちより、もっとーー
隣に欠かせないって、思えるやつ。」
思わず、わたしの足が止まった。
「なに……それ?
そんな人ーー」
「特別だ、って言ってんの。」
颯真も足を止めて、わたしの方を振り返る。
「……好きとか、それよりもっと、大切だと思える。
そいつが。」
そう言って、颯真は持っていたジュースをかかげて、足を早めた。それに気づいた3人が、おー!!と声を上げる。