不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「なんでもいいから、俺を選んで」
みんなで昼ごはんを食べて、いろいろなプールを回って。
たくさん笑って。たくさんはしゃいで。
「佐奈、めっちゃ焼けてるよ!」
「あ……ほんとだ。
佐奈ちゃん、水着の線くっきりだよ。」
「えぇ!?うっそ!!
日焼け止め1時間ごとに塗ってたのにー!」
相当ショックだったのか、また日焼け止めを身体中に塗りたくる佐奈。
「そんなに塗っても、もう手遅れじゃねぇの?」
「女心わかってやれよ颯真。」
それを横目にみんなで笑ってると、
佐奈は急に大声を上げた。
「こうなったらもう、とことん遊ぼう!!
あれ行こ!あれ!!」
佐奈が指差したのは、
このパークの目玉アトラクション。
新しく出来た、パーク最大のウォータースライダー。
「え……
あれ、めっちゃ速いし長いって噂なんだけど。」
わたしが少し怯えた声を上げると、
颯真が隣に並んでくくっと笑った。
「なに明里?こえーの?」
そう、馬鹿にしたように笑う颯真に、
「ち、違うし!
昔おばけ屋敷で泣きじゃくってた颯真に言われたくない!」
「はぁ…!?
お前、いつの話してんだよっ…!」
「結局あの時は、わたしが颯真を引っ張ってあげたよねー!」
「言っとくけどなぁ……
小学生であれを怖がってない女子、お前くらいだったからな!」
「ふふっ……颯真の負け惜しみー!」
言い合う私たちを、悠太くんと悠里が止めてくれた。
さっきの颯真の言葉なんて……気にしない。
気にしないんだよ。
前に進んでるんだから。
「じゃぁ明里、俺と一緒に乗ろ。」
あのウォータースライダーは、2人乗り。
悠太くんは、そうわたしに言ってくれた。