不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「……うん。ありがとう。」
そんな返事しかできないわたしが……
すごくもどかしくて、
イライラする。
ーーーーーーー………………
「あいつら、まだ?
遅くね?」
「そうだね……」
"あいつら"とは、颯真と悠里のこと。
わたしと悠太くんは、途中話をしながらも5分ほど前にスライダーの入口に到着。
それからずっと待ってるんだけどーー
颯真と悠里の2人は、まだ到着していないようで。
「あの、乗らないんですか?」
「あっ……ごめんなさい!
先どうぞ……!」
そんな風に、後から上がってきた他のお客さんに、順番を譲り続けている。
「なんかあったのかな……?」
少し心配になってきて、わたしがそう声を漏らしたとき。
「さぁ………
……あっ……!!」
悠太くんが、大きな声を上げた。
視線の先には、2人並んで、こちらに向かってくる姿。
「わりい。遅れた。」
「遅いじゃんー……
………………?」
悠里は、「ごめんね?」とわたしに向かって顔の前で手を合わせる。
だけどーー
なにか、違和感があって。
悠里のひきつった笑顔。颯真のそらした目線。
……2人の距離。
「どうか……した?」
その問いかけに、悠里は笑って答える。
「なんにもないよ。」
……嘘だよ。
"じゃぁ颯真くん。あたしと乗ろう?"
そう言いながら颯真の腕に触れていた2人の距離が……
遠くなってるのに。