不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
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「なぁ、颯真。」
「ん?」
「お前、榎本と仲いいよな。」
「あぁ、明里?
まぁ、俺らが小さい時からつるんでたからなー。
腐れ縁だな。」
「付き合ってんの?好きなの?」
ーー…そんな会話を、教室の外から盗み聞きしてしまったわたしは、思わず足が止まった。
聞きたい?聞きたくない?
(……聞きたくない。)
しばらく葛藤したわたしは、意を決して教室から遠ざかりようとした。
だけど、わたしの行動は、颯真から発した言葉には間に合わなくて。
「そんなんじゃねーよ。明里は。
ただの、友達だから。
俺と明里が付き合うとか、地球がひっくり返ってもねーよ。」
「地球がひっくり返ってもって、どんなんだよ!」
颯真の友達の笑い声が遠く聞こえた。
目の前が真っ暗になるって……
まさにこのことだと思った。
「それにたぶん、そんな行動起こしたとしたら…」
「ん?」
「俺たちの今の関係は、きっと壊れる。」