不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
ぎゅんぎゅんスピードを上げていくボートと、容赦ないカーブの連続が、わたしの体を大きく揺らす。
「……明里!!」
「えぇ!?」
ボートを傾けながら、カーブでのバランスをとってくれる悠太くん。
ボートを上手く操り、悠太くんはわたしの名前を叫ぶと、後に続けた。
「……俺、負けねぇから!!」
「え!?何に!?」
「んー……いろいろ!?」
悠太くんの"負けない"宣言が、このスライダーでの勝負のことなのか、なんのことかよくわからないけど。
だけど、考える余裕のないわたしは、
あっと言う間にスライダーの終わりに近づいて。
最後、思い切り水面にダイブし大きく水しぶきを浴びると、わたしはグッタリと体の力が抜けた。
「大丈夫か……?明里。」
「ん……大丈夫……」
楽しいよりも、怖さが買ってしまって。
もう乗りたくない……。
わたしの気持ちを察してか、ゆっくりと、悠太くんはボートを降り口で止めてくれた。