不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「あ!明里おかえり!
悠里と颯真のほうが早かったよ。
おごるのは明里と悠太くんね!」
ボートから下りたところで、佐奈はわたし達を待ち構え、そう楽しそうに告げる。
「あ……そうなんだ……」
そんな一言の返事になってしまうのも仕方がない。
……ダメ。まだ足が震えてる。
悠太くんは、一足先に自動販売機へ向かったようで、
わたしは佐奈に「早く行ってこーい!!」と、背中を押された。
きっと悠太くんも、こんな風に佐奈に押されたんだろう。
「はいはい……わかったよ……」
近くの自動販売機を目指して、足をなんとか前に運ぶ。
視界の端で、悠里と颯真を見かけて。
2人は、別々の壁にもたれ、座り込んでた。
「………………」
やっぱり……変だと思うんだけどな。
そう思ってた頃、先に悠太くんが颯真に駆け寄り、手に持っていたジュースを手渡す。
「あ……わたしも早くしないと。」
わたしは重い足取りをなんとか振り切り、駆け足で自動販売機に向かった。