不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「失いたくないって、思った。」
ーーーーー………………
"颯くん"
幼い頃、そう呼ぶ声が、可愛いと思った。
"颯真"
年を重ね、そう呼ぶ君が、好きだと思った。
昔から今まで、自分のため、彼女のためと思ってきたけれど。
それはただ自分の保身のためでーー
ただ自分が、臆病だっただけかもしれない。
ぶつかる勇気が、なかっただけなのかもしれない。
失う間際になってーー
それに気付くのが、遅すぎたけれど。
いつだって俺の気持ちは、
たったひとつだったのに。
なぁ……まだ、間に合う?
明里。
゚゚*side.颯真*゚゚