不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
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少学校低学年の頃。
「え……!?
颯真、明里ちゃん!
何その傷……!?」
学校から帰った俺と明里の姿を見て驚く俺の母親の姿は、もう日常茶飯事だった。
「また明里ちゃんに助けてもらったの……!?
もうっ……
これ以上、明里ちゃんところに迷惑かけられないのに……!!」
「大丈夫だよー!颯くんママ!
わたし、強いからいつも勝てるもん!!」
そうピースを出して明るく笑う明里の後ろに、俺は泣きはらした顔で隠れていた。
あの頃の俺は、いつもうつ向いて歩いてるような男の子で、弱虫で、泣き虫で。
よく、近所の子にいじめられては泣いていた。
それを、助けてくれるのはいつも明里で。
今思うと、そんなひ弱なオーラを出してるヤツは、そりゃいじめの対象になるだろうと思うし、
お前男だろ……!!
って過去の自分に喝を入れてやりたいくらい。
俺の母親も、幼馴染みの子がいつも傷をつけて帰って来れば、明里のところの両親にも顔向けできなかっただろう……と思う。
でも、俺たちがさらに幼い頃から家族ぐるみの付き合いで、明里のこの持ち前の明るさから、家族間でトラブルになったことは一度もなかった。
その辺りでも、俺は明里を含めた明里の家族に、すごく助けられていたんだと思う。
「ねえー?颯真。」
ある日、俺の傷を消毒しながら、母親が言った。
「明里ちゃんね、いつも笑ってるでしょう?」
「うん……」
「でもね、表面上は元気いっぱいでも、心の中では違うかもしれないよ?
泣いてるかもしれないよ?」
そんな心の中を読み取れる子になってほしい、と、
母親が微笑みながら言ったのを今でも覚えてる。
「明里ちゃんは、颯真と違って女の子なんだから。
いつか、颯真が明里ちゃんを守ってあげられるようにならないと。」
きっとそれが、"強くなれ"って意味だと、
こどもだった俺でも、理解はできていた。