不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
明里への気持ちを、抑えること。
なんでもない存在で、ただの幼なじみだってことを、俺自身に叩き込むこと。
明里とこれからも変わらずにいられるには、それしかないんだって思ってた。
「明里ー。」
「え?」
高校生になっても、明里と同じ高校を選んで。
と、いうかーー。
特に偏差値のランクを明里に合わせて落としたわけでもなく、気づけば、明里も同じところを希望していたわけだけど。
「昨日の宿題、見せて。」
「また!?
なんでこんなサボり魔が学級委員長なんだか……。」
呆れたように言う明里に、俺はくすっと笑って。
俺だって、やろうと思えばできる。
これでも、中学の頃は明里よりも成績は伸びていたんだから。
だけど、こうやって、明里と話せる機会を、わざと作っているだけ。
「お前のノート、やっぱ見やすいな。
字、だけは綺麗。」
「字、だけ?
"だけ"ってなに!"だけ"って!」
こんな、何でもない日常が好きだった。
だけどーー
大きく変化する1年となるのがーー
高校2年生になった頃。
ーーーーー……………
高校2年。新しいクラス。
周りは、顔だけ見たことがあるような、ほとんど関わりがなかった奴らばかり。
まぁーー
クラス替えなんて、みんなそんな感じだろうけど。
「なぁ、暮野颯真って、お前??」
そう、明るく声をかけてきたのは、髪の色も明るい男子。
(たしかーー)
「俺、木ノ原悠太!」