不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
ブラウンの髪が、光に当たると明るく見える。
未だに髪を染めてない俺と違いーー
悠太は言わば、"陽"だった。
「なんか、1年のときから、暮野のことよく噂で聞いてたんだよ。」
「は?俺の噂?なんの。」
特に噂されるような悪いことも、変な友達付き合いもしていない。
比較的、明るい好青年を演じてきたつもりだったんだけど。
悠太から言われた言葉に、この時の俺は"?"が飛ぶばかりで。
「お前、自分のことは盲目なのな。
女子の間でお前人気なの、知らねぇの?」
「……知るわけねぇじゃん。」
頬杖をついて、さも興味がないようにため息をつく。
「嬉しくねぇの?
素直じゃねぇヤツ。
俺はモテてぇけどなー!!」
たしかに、俺だって健全な男子。
モテて嬉しくないわけがない。
だけど、真に振り向いてほしい相手からは、見向きもされてないわけで。
ちらっとその"相手"の方を見ると、普段通っているファーストフード店のクーポンとにらめっこしながら、腕を組んで考え込んでいた。
(……なにやってんだあいつ。)
ふっと、俺の頬が緩む。
そのとき、悠太が俺の前にイスを引いて座りこんだ。
「なに?
お前、そこの席じゃねぇだろ。」
「いいじゃん。
友達になった記念に前後の席ゲットー。」
「意味わかんねぇし。」
俺の言葉に、悠太はくすっと笑って。
「それに……さ。」
「ん?」
「暮野ってさ……
あの、榎本明里って女子と、仲いいんだろ?」