不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
ーードクンと、俺の心臓が鳴った。
なに?
こいつも他の奴らと同じ類いなのかよ?
簡単に、何も知らないくせに、明里を好きだって言う。
この時の俺は、一瞬で悠太に対して嫌悪感が増した。
だけどーー
その気持ちは、次の悠太の言葉で吹き飛んだんだ。
「いや……
べつに、好きとかじゃない。
でも、1年のときから、いつもお前と楽しそうに帰ってる姿は目に入ってた。
……それがずっと記憶に残ってて。
だから、お前とあの子が、なんでもない関係なら。
俺はあの子のことを知ってみたいって……
思ってるんだ。」
さっきまでへらへら笑ってたくせにーー
真剣な顔つきの初対面の男子から、まさかの宣戦布告。
……宣戦布告?
(いや……違うだろ。)
悠太と俺は戦わない。
むしろーー
(いつまで俺は、あいつを想ってんだよ。)
報われることのない、一方的な想い。
それを払拭するには、きっかけが必要で。
きっとそれがーー
"今"だった。
「………………。
これから、悠太って呼ぶけど。」
そのときに、悠太がおう!と声を出して笑ったのは、今でも覚えてる。