不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
ーーーーー……………
「ーー…………
それで……
高2になった今年の課外キャンプから、悠里の気持ち、利用してたんだ。」
「…………………」
佐奈は、何か考え込むように、俺の話を聞いていた。
悠里と明里が食事作りで怪我をした、あの時。
明里の怪我には気づかず、手の甲を赤くした悠里の手を引いて、川の水で冷やしている時。
「颯真くんって……優しいよね。」
まだ仲が良くなかった悠里がそう言ったその後から、なんとなく悠里の気持ちには気づいていた。
俺は、意外と他の人からの好意には敏感で。
だからーー……
「いっそ、明里のことを諦めるために、他の人を好きになろうとした。」
悠里は、関わるうちにいい子だと思ったし、悠太からも"幼なじみで優しいヤツだ"とは聞いていた。
だから、きっと好きになれる。
明里のことを忘れて、前に進める。
そう、思っていた。
「何度か悠里とも遊んだし、下校だって一緒にした。
でもーー…」
俺が明里と過ごす放課後が減った分、あいつは今誰といるんだって。
悠太といるのかなって思ったらーー……
「明里と悠太が仲良くなるたび、意味わかんねぇくらいどす黒い気持ちが渦巻いて。
俺が思ってたよりもっとーー
前に進むことが難しくて。」
もう、引き返せないほど、俺の気持ちが明里を必要としていて。
だからーー
「ーー…もう、無理だって思った。」