不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~



「……は?
あぁ……うん。
それでも、悠里を好きになりたいと言ったら、背中を押してくれてたんだ。」





「なに……それ。
じゃぁ悠太くんは全部知ってて……。」





「……なに言ってんだよ?佐奈。」






ぶつぶつと独り言を繰り返す佐奈。





「………ねぇ。
颯真くん。

これ、明里から聞いたんだけど。
ていうか、悠太くんから聞いた明里が、わたしに教えてくれたんだけど。」






気づくはずもない、俺の知らないところでーー






歯車が一つ、意図的に狂わされていて。






それに気づくのも……






遅かった。






「颯真くん、悠里に告白するんじゃなかったの……?

だから、明里は……。」





一瞬、何を言われてるのかわからなかった。






告白?俺が、明里じゃないヤツに?





俺は、もう明里から目を背けないと思ってばかりだったのに?






「いや……なにそれ。

なんの話ーー」





そう言いながら、俺は佐奈と見つめ合う。





そのうち、一つの可能性が、頭の中を巡って。
それは、佐奈も同じだったようで。





「悠太……あいつっ……!!」





そう思った頃には、こことは違うところで、




すでに望んでなかった方向へと、話が進んでいることになるーー。



< 159 / 190 >

この作品をシェア

pagetop