不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
屋上の重たいドアを開けて、
2階にある自分の教室に戻っていく。
「颯真、急げ!
もうチャイム鳴るぞ。」
「おー。」
教室の前で、学生服に着替えた颯真がいた。
少し汗がにじんでいる颯真は、タオルでぬぐいながらわたしの方を振り向いた。
……あの女の子からもらったタオルじゃん。
「あっち~」
「まだ春なのに、すごい汗かいてるね。」
「明里。お前もサッカーやってみな?
こんな風になるから。」
「やだよ。お断り。」
なんとなく颯真が持つタオルを見たくなくて、
颯真とは逆方向に顔を背けながら返事をする。