不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「……夏祭り、待ってるから。」





ーーーーーーーー……………






"俺、ズルいかもしれない。"






"本当のこと知ったら、あいつとも元に戻れないかもしれない。"






"譲れないものだって、ある"






"なんでもいいからーー

俺を選んで。"





悠太くんは、はおっているわたしのパーカーを掴んだまま、離さない。





「…………………………」






目の前の、いつにない真剣な表情の悠太くん。






そして、悠里の隣に並ぶーー颯真の姿が目に浮かぶ。






「……悠太くん……。」





私は、わたしの服をつかむ悠太くんの手に、自分の手を重ねる。




「あかーー」






そして、その手をそっと離した。





悠太くんの手が、行き場をなくしたように下りていく。






「悠太くん、言ってくれたじゃん……。
わたしの気持ち、急かすつもりはないって。

それなのに、なんで急に焦ったように言うの?
"なんでもいいから"って、なに?」





「………………………」





「そんな、勢いに乗せたように言われたって、
何も嬉しくないよ……!!」





悠太くんの存在には、救われてた。
なのに、こんな形で告げられたって、何一つ心に響かない。




それにーー




どこか、様子の違った颯真と悠里。





わたしの思い違いかもしれないけどーー






その2人のことも、わたしの心になぜか引っ掛かっていた。





そしてーー





"本当のことを知ったら、あいつとも元に戻れないかもしれない。"






「…………ごめん。

たしかに……焦ってた。俺。
自分で言ってたのにな。
急かさないから……って。」




「…………………」





「でも……勢いで言ったわけじゃねぇよ。

俺のこと、本当に考えてほしいのも、選んでほしいのも、本音だから。」



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