不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~



「そんなこと、颯真は言ってないんだ。」







「嘘……?

だって、颯真は悠里が好きでーー。」







「…………………」






そこで、悠太くんは黙りこむ。







「……ちがうの?」







ーーそういえば。






颯真は言ってた。
今日、一緒にドリンクを買おうとしていたとき。






"好きとか、それよりもっと、大切だと思える。
そいつが。"






そう言っていた。





「好きよりもっと、大切だって思える人ーー。

悠里じゃ、ないの?」





「………………。」





少なくとも、わたしじゃない。






とっくの昔に、わたしはふられてるようなものなんだから。





「知ってるの?悠太くん。」






「……さぁ?

どうだろうな。」





そう言って、悠太くんはわたしの髪を一筋すくう。





頬から髪に手がうつってーー
まるで熱が集中したみたいに、熱く感じる。





「俺……

……夏祭り、待ってるから。」





すっと、悠太くんの手が離れた。











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