不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




「……悠太……ね。

なんなの?あいつ、安心させてくれんの?
優しいのかよ?」






颯真は、わたしから目をそらす。
少し歩くスピードを早め、わたしの半歩前を歩いた。






わたしに向けたその背中は、どこか冷たく感じて。






その理由も、わからない。






「颯真……?」





わたしは付いていくしかなくて、自然と小走りになる。







「悠太くん、優しいじゃん。
颯真だって、知ってるくせに。」






わたしより、悠太くんとの付き合いが長いくせに。






それにーー





「颯真が、言ったんじゃん。」





あの夜。
わたしの家までノートを届けに来てくれた……あの夜。






「悠太くん、いいヤツだって。
俺のオススメだって。

だからわたしーー…」






"悠太くんのこと、前向きに考えようと思ったんだから。"







そう言葉を続けようとしたわたしにーー






それは叶わなくて。






「えっ……、

……っ……!!」





急に、左手首に感じた圧迫感。
そして、背中に感じるのは、冷たい壁。





颯真はわたしの腕を強く握ると、わたしの背後の壁に強く押しつける。





わたしを至近距離で見つめる、そんな颯真の表情は、どこか歪んでいて、辛そうでーー…





「颯…真……?」




強く捕まれた手首も痛い。





だけどなによりーー




まるで相手を射貫くような……
颯真のその表情が、なによりも痛かった。





「……なぁ。
明里はさ、最初から俺のことなんか眼中になかったよな。」





「え……?」






「ーー………マジ……ムカつく。」



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