不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




「……本当は心底、嫌だったけどな。」





颯真は、自嘲気味に笑みを溢した。





ねぇ……その言葉は、どういう意味?





そんな颯真の言葉がわたしの心に光を灯す。






だけどーー







「颯真……中学の頃に言ってたよね。」






「……なに?」






「友達に、わたしとのこと、聞かれたとき。

何か行動を起こしたとしたらーー
俺たちの関係は、きっと壊れる。って……。」





あの日がわたしの気持ちの転機だった。







だから、わたしは気持ちに更に鍵をかけた。






絶対に知られてはいけない。





壊れたくないって。





「……っんなの………

明里から彼氏としていらないって言われたら、もう行動なんてできねぇ。絶対に今のままじゃいられなくなる。

幼馴染みの関係にすがりつくしかねぇって思うだろ……。」





それじゃあ…………




私たちは、お互いの言葉に惑わされてたってこと……?






十分じゃない意味のまま、お互いの言葉を捉えて。
食い違った言葉に、お互いが縛られてた。






「………っ……!」





それじゃぁ、颯真の本心は……?





「あいつに、譲ろうと思った。
でも……もう無理。

……俺、もう逃げたくねぇから。」






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