不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~





「……っ………!」




颯真の目が、声が、わたしを射貫く。






そしてーー
わたしの中で、バラバラだったピースがはまっていくよう に、悠太くんの言葉が甦った。





"俺、ズルいかもしれない。

本当のこと知ったら、あいつにも嫌われるかもしれない。"





"でもーー…

譲れないものだって、ある。"





悠太くんはーー




颯真の気持ちを知ってたんだね。





わたしと颯真の、不器用な、想いのすれ違いを。





だけどその上で、悠太くんはわたしに嘘をついた。





"颯真、悠里に告白するんだってさ。"






そうやって、わたしが颯真を諦めるよう仕向けた。





わたしが……
悠太くんを選ぶように?





ほんと……"ズルい"よ。





だけど、酷いことをされたはずなのにーー





憎み切れないのは、悠太くんの存在に、今まで救われてきたから。





わたしへの気持ちは、きっと本気で向けてくれていたと、感じるから……。





「……………………」






"譲れないものだって、ある"






「……明里。
それでも俺、お前に言いたいことがある。

今年の夏祭りも、いつもの場所で待ってるから。」



ーーーーーー…………………





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