不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
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ーー………
「ええっと……あった。ここかな。」
悠里の家の住所をスマホで検索し、歩くこと数十分。
悠里の家はマンションだと聞いていたから、見つけるのは意外と簡単だった。
「ーー…ふー……。
よしっ……!」
悠里の部屋は最上階。
心の準備に軽く深呼吸をし、オートロック手前で部屋番号を押す。
ーーピンポーン……
インターホンが鳴った後。
「ーーはい……?」
インターホン口から、悠里の声が聞こえてきた。
「悠里……?
わたし。明里。」
「明里……?
なんで……。」
そう言いながら、悠里の鼻のすする音が聞こえてくる。
心なしか、少し鼻声であるようにも聞こえて。
もしかしたら、体調不良というのはウソじゃなくて、本当に具合が悪かったのかもしれない。
「お見舞いに来たよ。
昨日も、急にいなくなったりして迷惑かけたし……。
その、お詫びもしたくて。」
「…………………。」
そこで一瞬、悠里は黙りこんで。
「……一人??」
そう悠里は言った。
「うん。わたし一人。」
「……わかった。
ありがとう……。来てくれて。
上がって?」
その言葉と同時に、カチャンとオートロックの鍵の外れる音が聞こえて。
悠里と繋がっていたインターホンは、ブツリと切れた。
エレベーターに乗り込んで、上へと上がっていく。
最上階で降りた景色は、夕暮れがすごく赤い。
わたしがドアの前に着くと、同時にドアが開いた。
「……明里ちゃん。」
そう言った悠里の目はーー
赤く、潤んでいた。