不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「ありがとう。来てくれて。」
「悠里………。」
いつも一緒に出かけるときは、服装も人一倍オシャレな悠里。
だけど、今日の悠里はジャージにパーカーを羽織っただけ。
鼻をすすって、少し鼻声だったように感じたのは、やっぱり体調不良のせいだけじゃなかったんだ。
「大丈夫……?」
「……ん。平気。
上がって?」
目が赤くなるまで泣いていたんだろう悠里が、無理に笑顔を浮かべるから、ちくっと胸の奥が痛みを帯びる。
「…………………」
「急だったから、部屋汚いけど。
なにか飲む?お茶入れるね。」
「えっ……?
あ、ううん!いいよ悠里。
おかまいなく…!!
体調悪い……んだよね?
悠里は休まないと。」
台所に行こうとする悠里の手をぐっと掴んで引き留める。
わたしのその手に少し驚いて。
そして、くすっと笑った。
「……そうだった。」
そのまま、ベッドのほうに向かう。
わたしは悠里の後に続いて、ベッドの側に座った。
「あ……お見舞いの品、持ってきたよ。
果物の缶詰。それとスポーツドリンク。」
「ありがと。今貰おうかな。」
「それと………」
「……?」
手に持っていたもうひとつの袋を、悠里に手渡す。
その袋の中を覗きこんだ悠里は、驚いたように目を開いて。
「売店の一口ゼリー。
………颯真から。」