不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~





「なんで……?明里。」






悠里の目が、悲しそうに歪む。






やっと気づいたの。







颯真の気持ちを聞いて、嬉しいはずなのに……







心の中に感じたモヤモヤ感。






その理由が。






「わたし……悠里に嘘、ついてた。

悠里がわたしに好きな人いないの?って聞いたときーー
わたし、いないって言ったけど……。

あれ……嘘なんだ。」





「……え?」






本当の気持ちを、わたしがついていた嘘を、悠里に明かしていないままで。









そんな状態でーー
前に進もうとする自分が、心底嫌だったんだ。








「わたし本当は……ずっと好きな人がいたの。
だけどそれを隠してた。」





「…………………」






「本当は、幼い頃からずっと、颯真のことが好きだった。

だけど……叶わないから、悠里に言うことないと思った。
悠里の気持ちを応援しようと思ったの。」





悠里は、視線を上げて、わたしを見る。






悠里は大事な友達の一人。






だからこそーー
もう嫌われてもいい。







「ずっと悠里に本当のこと言わなかった……。

……ごめんね。」













< 178 / 190 >

この作品をシェア

pagetop