不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「颯真くんにとって、今一番近い存在なのは
明里だと思うけどなー。
そんなん言ってて、
あとで後悔しても知らないからね!」
ずんずん進んでいく佐奈の背中を見ながら
颯真にもらった塩飴を口にふくむ。
「しょっぱ……」
あまりおいしいと感じない、
独特なしょっぱい風味に………
少しだけ、胸がきゅっと痛くなった。
今の関係でいたい。
でも、いたくない。
うまく言葉にできないけれど、
それが今のわたしの本音。
颯真に彼女ができたら?
今ほど、わたしにかまってくれなくなったら?
わたしよりも……
颯真に近い人ができたら?
「…………」
今の関係を壊したくない。
だって颯真は、わたしのことなんて好きじゃない。
"今の関係は、きっと壊れる。"
いつかの颯真の言葉を思い出して、
わたしは塩飴の包み紙をくしゃっと握りしめた。