不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「わ……!
悠里ちゃん手際いいね!」
悠里ちゃんは、手元のにんじんをさっさと乱切りにしていく。
手慣れてる感じが見て取れる。
きっと、わたしがするより断然早い。
「そうかな…?ありがとう!
わたしのお母さん、料理上手でね。
よく手伝っては教えてもらってるんだ。」
「ふーん……
でも、教えてもらってできるのは、きっと器用なんだね」
「そう?きっと慣れだよ。」
そんな会話をしてる間に、人数分のにんじんをすべて切ってしまった悠里ちゃん。
それだけ上手になれるなら、わたしが悠里ちゃんのお母さんに習いたいくらいだよ。
「他は?
もう切るものない?」
「あ、うん!
これで全部!
炒めていこっか!」
「了解ー!!」
まずはお肉を鍋にほうりこんで、ジュージューと食欲のそそる音が響きはじめる。
せっせと炒めてくれてるのは悠里ちゃんで、わたしは側で見てるだけ。
(なんかこれだと…
わたしただの邪魔な人?)
「えっと…なんかすることないか探してくるね。」
そう言って悠里ちゃんの側を離れようとした時、
ドスっという音が聞こえそうなくらい、
わたしの肩にかなりの重みが加わって。
「お、重い…!!」
「明里はなにやってんの?
あ。味見係?」
そう嫌味に言うのは颯真だった。