不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「颯……真。」
「……なにこれ?いつから?」
怒ったように言う颯真に、
わたしは目が泳いでしまう。
「つ、作り終える前……」
「ぶつかったとき?」
「…………」
こくんと頷くと、颯真は大きなため息をついた。
"なんだよ悠里と同じタイミングかよ"……って。
いつからか、
悠里のことを呼び捨てにしている颯真に、
ちくっと胸が痛んだ。
「……で?」
「え?」
「え?…じゃねぇよ!
お前は一人だと手当てもできないのか?」
そう嫌味ったらしく言うと、
わたしの手をつかんだまま歩き出す。
「べ、べつに手当てするほどじゃ……」
「馬鹿。こんなぱっくりいってんだから、固定して傷塞がなきゃだめだろ。」
そう言いながら救急箱のある所にたどり着いたわたし達は、向かい合って座る。
颯真の右手がわたしの左手から離れていって……
なんだか寂しさを感じるわたし。
(昔はよくつないでたのに…変なの。)
あの頃と今じゃ、全てに対する気持ちがこんなにも違う。
「……我慢な?」
「えーー……」
なにか言葉を発する暇もなく、
消毒スプレーが傷口に勢いよく当てられる。
それと同時にーー
「いっ……いったーい!!」
わたしの叫び声が大きく響いた。