不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「俺がいい男見定めてやろーか?」
「……いらないよ。
あてになんない。」
「ひっでー。」
いるのに。いい男。目の前に。
その本人に言われるとか、情けなくて泣けてくる。
「ま、お前ならすぐできるから。
俺が保証してやる。」
「馬鹿じゃん……」
ははっと笑って、颯真は救急室を出ていった。
「…………。
情けな……」
早めに颯真が出ていってくれてよかった。
流れ出た涙は、コントロール不能。
「あー…もう……」
「明里ー?
傷どう……って、どうしたの!?
大丈夫?」
「さ、佐奈ぁ~……」
泣きべそできっとひどい顔。
ここに入ってきたのが、佐奈でよかった。
これが他の人なら、ごまかしようがない。
わたし自身、余裕もなさすぎて。
「なんで颯真なのかなぁ……
幼馴染みなんて、初めから恋愛の対象で見てくれない!」
「明里……」
「……もう嫌。やめたいよ……」
「明里は…さ、まだ何も行動してないじゃん。」
「……え?」