不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
すらすらと書いていく悠太くんの字は、
思ったよりも整っている。
いつも颯真の字を見てたからかな?
習字でも習っていたかのような、
綺麗な字をぼーっと見つめた。
「明里のノート、見やすいな。」
ノートに目を落としたまま、
悠太くんはそう話す。
「そう?
普通だと思うんだけど……。
むしろ、悠太くんの字のほうが綺麗だよ。」
「いや?
なんていうか……行間が綺麗っていうの?
ほんと、颯真の言ってた通りだな。」
“颯真“
その名前を聞いただけで、わたしの胸がどくんと鳴る。
ほら……重症。
やっぱり、こんなにも好きなんだよ。
颯真のほうをちらっとみる。
「あははっ、颯真くんが先生に怒られてたら笑ってやるー!」
「そこは俺をかばえよ悠里…!」
きっと予習のカンニングがバレたときのことを話してるんだろう。
2人の笑顔がお似合いで、目をそらしたいけどそらせなかった。
「……………」
前にも進めない。こんなんじゃ。
「明里。」
「えーー」
その声に振り向くとーー
「……!?つ、冷た……!!」
驚いて思わず大声を上げてしまったわたしの頬には
、キンキンに冷えた小さな缶ジュース。