不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「……え?」
颯真の声に振り返ると、しばらく真顔だった颯真が……
ふっと笑った。
「そいつ、手早いから気をつけろよ。
前科あり。」
「うるせ。
余計なこと言うな颯真。」
そんな会話を耳にして、わたし達は教室を出た。
「…………」
颯真は、わたしが誰とどこに行こうと、なんとも思わない。
もしわたしが颯真の立場でーー
もし颯真が誰か女の子と2人でどこかに行こうとしていたら、あんな平然と見送れない。
それだけで、今、颯真がわたしのことをなんとも思ってないことなんて、手にとってわかってしまう。
ぼーっとしてたことに気づいたのか、
急に悠太くんが足を止めた。
「大丈夫?」
「……!
あ。ごめん。悠太くん。」
ふっと笑うと、わたしの袖を離して歩き始める。
やっぱり、悠太くんにはわたしの気持ちがバレているみたい。
今さら否定したって……意味がないほどに。