不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
本当はわたしだって、
ああやって颯真に駆け寄りたいよ。
笑って颯真に差し入れしたり。
あんな風に好きって気持ちを、
素直にさらけ出したい。
だけど、颯真との今までの時間が、
そうさせてくれないんだから。
だから……
「しょうがないじゃんか!!」
「……っげほっ……
ちょっと…!!
急に大声出さないでよ。
おかずつまらすとこだった!」
怒ってわたしを睨む佐奈を横目に、
玉子焼きにフォークを勢いよく刺すと
一気に口に放り入れる。
背中越しでは……
颯真たちの楽しそうな笑い声が響いてた。
わたしの気持ちも知らないで……。
だけど、嫌いになれないのは、
この気持ちのせいなんだろうな。