不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~



友達をなくしたくない。




自分も傷つきたくなくて。
友達も傷つけたくない。





そんな欲張りな気持ちからーー
わたしは身動きがとれなくなってる。





「はい!明里。」




まとめたプリントを、わたしに悠里は手渡してくれた。




「ありがとーー」




そうお礼を言ったのと……





教室のドアが開いたのはほぼ同時。





「ーーあれ?
なにやってんだ?明里。
まだ帰ってねぇの?」




「……颯真。」




どこか不機嫌そうに、頭をかきむしりながら颯真は教室に入ってくる。




手には、忘れたと言っていたはずの数学のプリント。




そんな颯真の元へ、悠里が真っ先に近づいた。




「遅かったね?
どうしたの?」






「おー…
宿題提出してなかったから、こってりしぼられた。
このプリント、今日出して帰れってさ。」




ぴらぴらとプリントを掲げると、
めんどくさそうに机に広げ、ペンをとる。




「待たせてごめんな悠里。
けど、先帰ってていーよ。
俺、時間かかる。」




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