不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「いいよ。
あたし待ってる。
数学のプリントでしょ?
つまずいたら、あたし教えてあげられるよ?」
「まじで!?」
そう言う颯真は、どこか嬉しそうで。
きっと、プリントの問題を教えてくれるってことに対してじゃない。
悠里が自分のために待ってくれる。
そのことがきっと嬉しいんだ。
「明里は?なにしてんだよ?」
「……え?あ……。
わたしは、担任から頼まれた日直の仕事、終わったところ。」
「その大量のプリント?
災難だったな。」
そう言いながら、全く哀れみの目で見てないことを考えると、きっと颯真はおもしろがってるんだ。
「人の不幸を喜ばないでよね…!」
「被害妄想だろ。」
そんな会話を聞いていた悠里が、
くすっと吹き出す。
……口を開けば、くだらない言い合いばっかり。
少しでも……
颯真の前でかわいい女の子になれたらいいのに。
そうなれないのは、
今までの時間のせい。
「帰るね……わたし。」