不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「……………」
がんばる勇気だって持ってないし、簡単に諦められるほど軽い気持ちでもない。
だって、中学の頃から好きだったんだよ?
1+1=2
みたいに、簡単に答えなんて出せないよ。
わたしが何も言えないでいると、佐奈が耐えきれなかったように口を開いた。
「これはね、わたしの考えだから、本当にどうするかは明里が決めてほしいんだけど。」
「……うん?」
佐奈はお弁当の袋を持って立ち上がる。
背後に見えていた2人の姿はもういつのまにか消えていた。
「明里はさ、ずっと颯真を想ってきたわけじゃん?
ずっと想う恋をしてきたわけじゃん?」
「……うん。」
「でも、なんの確証もないけど……
あの2人はきっと、いい雰囲気だよ。
悠里はきっと100%颯真を好きで、颯真も、たぶん……。」
そこで歯切れ悪く言葉を切ったのはーー
たぶん、佐奈がわたしを気遣ったからだと思う。
「だからさ……
明里は、一度想われる立場で幸せな恋をしてみてもいいんじゃないかなーって、わたしは思う。」