不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~




"想われる立場"






「わたし個人としてはねーー
ずっと颯真を追い続ける明里よりも、誰かに想われて幸せそうにしてる明里が、見たいんだよ。
友達がこれ以上悩んでるのも、見たくない。」






ぽりぽりっと、少し視線をそらしながらぽつぽつとそう話す佐奈を見てると、なんだか目頭が熱くなって。






思わず佐奈に抱きついた。






「さ、佐奈ぁ~…!」




「え!?ちょっと!!
わたしの制服で鼻水ふかないでよ!」





「佐奈が友達で嬉しい!
ていうか、わたし佐奈と付き合う!」




「は!?なにいってんの!?」





いつも冷静沈着でわたしの相談にのってくれる佐奈。





その言葉が優しさで溢れてるからーー
わたしは今の颯真への気持ちとがごちゃまぜになって、涙が止まらなかった。




"想われる立場になる"




結局、はっきりとした答えは出ないまま、昼休みは終わっていった。




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