不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
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「うわー。
すごい降ってるね。」
「天気予報通りじゃん?
昼から降水確率100%って言ってたし。」
「こんな日に傘持ってない人いたら本当哀れだね。」
……ここにいます。
そんな会話をしている他の生徒たちを横目に、
わたしは下駄箱で立ち尽くしていた。
今日に限って天気予報なんて見てなかったわたし。
それに、朝も昼も快晴だった。
昼ごはんだって、佐奈とあんな話しながら屋上で食べたくらいだったのに!
本当、不運とはまさにこのこと。
「……しょうがないか。」
雨が止むのを待つにしても、空はどんよりと薄暗くて全く止む気配なし。
無駄に待ち続けるくらいなら、濡れて帰ったほうがマシ。
わたしはカバンからハンカチを取り出すと、気休め程度だけど、広げて頭に乗っけた。
「せーのっ……」
そのまま意を決して走り出そうとする。
ーー…そのとき。
「え。お前、この豪雨の中、それで帰る気?」
「………っ!?」
一歩踏み出す直前で、腕を取られる。
驚いて振り向くとーー
わたしの腕を引きとめた颯真と、隣に並ぶ悠太くんがいた。