不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「え?」
「貸してやる。さすがに、女が濡れて帰るのはマズい。」
「でも……そしたら今度は颯真が濡れちゃうよ。」
「いや、俺は悠太の傘に入れてもらうからいいーー」
そう颯真が悠太くんのいる方を振り向いたけどーー
そこに彼はいなくて。
その変わり、わたしの横に影ができた。
「ーー俺が明里を送ってくよ。」
「え……」
いつの間にか悠太くんはわたしの隣にいて。
手に持ってる傘を顔の前で示しながら、にこっと笑った。
だけど、そんなの悪いし気を使ってしまう。
「でもーー…」
断ろうと口を開いたけれどーー
「ーーいいよね?颯真。」
なぜか力強く颯真に問いかける悠太くんの声に遮られ、わたしは口を閉じてしまった。