不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
……?どうして颯真に改めて聞くんだろう。
悠太くんは颯真をじっと見つめていて、だけど颯真はわたしと悠太くんの顔を交互に見るとーー
「はっ……」
真剣な表情をふっとやわらげ、おどけたように笑った。
「いいぜ?
野郎2人が相合い傘になるより、明里とのほうがいいだろな。」
颯真は、私たち2人から目をそらすと、
持っている傘を軽快な音と共に開いた。
「それもそうだし。
今日お前んちに取りに行くって言ってたCD、また明日にさせて。」
「……了解。」
あ……その用事があったから、悠太くんは颯真に聞いたのか。
……っというか。
「颯真ん家に行く予定だったの?
本当、悪いしいいよわたしーー」
そう言おうとしたわたしを、悠太くんが傘を開いて遮った。
深いネイビー色の傘が、わたしの視界いっぱいに広がって。
「俺、もう決めた。
一緒に帰ろう。明里。」