不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「………なにを?」
その声が震えてしまったのが、ばれませんように。
「颯真……
悠里が好きなんだってさ。
夏祭りに、告白しようかなって、言ってた。」
その言葉に、驚きはしなかったんだ。
予想通りというか、知ってたというか。
「そっか……
ふふっ。そうだよね!
悠里と颯真、お似合いだし、両想いだし!
きっと付き合えるね!
そしたらーー」
"わたしとなんか、夏祭りなんて行けないね。"
その言葉が言えなくてーー
その代わり、わたしの目から熱いものが溢れだす。
夏祭りだけは、これから何があっても一緒に行こうって言ったの颯真だよ?
またひとつ、颯真との接点がなくなってしまったようで、涙がどんどんと溢れだす。
だけどーー
幼馴染みってそういうこと。
大切な人ができるって、そういうことなんだ。
「ごめん……!
なんでもないーー」
悠太くんの前で泣いてしまったことで込み上げる恥ずかしさ。
だから、涙をぬぐって強がって笑ったところでーー
悠太くんは、傘を持ってないほうの手の制服の裾で、涙を拭ってくれた。
「俺、明里を笑わせるよ。」