不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「え……?」
豪雨の中、思わず足を止めたわたしに、悠太くんも足を止めてわたしを振り返る。
豪雨の強い風の影響で、少しだけ濡れた髪が、いつもの悠太くんの雰囲気をかき消してーー
少しだけ、胸をドキリとさせた。
「颯真を想うのやめてよ。
それでーー…」
いつの日かの、佐奈の言葉がよみがえる。
"想う恋じゃなくてーー
想われる恋を、してみてもいいんじゃないかな。"
「俺と行こうよ。
ーー花火大会。」
「悠太くーー」
「……言っとくけど!
ただの誘いだからな?
それ以上の意味は込めてねぇから…!……まだ。」
そう言いながらも、悠太くんの耳は赤くなっていて。
思わずくすっと笑うと、悠太くんは「笑うな!」
と今度は怒った。
「笑ってないよ。」
「笑ってんだろ。」
「……ありがと。」
颯真と悠里が両想いならーー
もう、わたしが入り込む隙はないんでしょ?
だったらーー
「そのありがとうはーー
一緒に行ってくれるって意味?」
ーーわたしは前に進みたいと思ったんだ。
わたしが首を縦に振って返事をして、
悠太くんも嬉しそうに笑ったとき。
~~♪♪
悠太くんの携帯が鳴った。
「……あ?颯真。」