第2回ベリーズカフェファンタジー小説大賞
受賞作品発表
大賞 賞金10万円+書籍化(レーベル未定)・講評
もふもふになっちゃった私ののんびり生活 もふカナ/著
優秀賞 賞金5万円+書籍化(レーベル未定)・講評
能力を失った聖女は用済みですか? 藤 実花/著
部門賞(異世界ファンタジー部門) 賞金3万円+講評
部門賞(異世界恋愛ファンタジー部門) 賞金3万円+講評
部門賞(ファンタジープロット部門) 賞金3万円+講評
全体講評
『ベリーズ文庫』の異世界ファンタジー、創刊1周年を迎える単行本レーベル『ベリーズファンタジー』からの書籍化を目指す『第2回ベリーズカフェファンタジー小説大賞』。
今回は「異世界ファンタジー部門」と「異世界恋愛ファンタジー部門」のほか、新たに「ファンタジープロット部門」を設けた3部門での募集を行いました。
ご応募いただいた作家の皆さま、作品を読んでくださった読者の皆さまに、感謝申し上げます。審査は、書籍編集部、Berry's Cafe編集部、販売部の計13名で行いました。
大賞に輝いたのは異世界ファンタジー部門・もふカナさんの『もふもふになっちゃった私ののんびり生活』です。
異世界に転生してしまった幼いヒロインが、最強の加護を得ながら、前向きに行動を起こしていく姿に引き込まれました。幼女の平和な日常と、ヒロインを守り導く神様や周囲の人々の過保護っぷりに、思わず顔が綻んでしまうことも。それだけ読み手を引き込むのは、作家さんの丁寧な描写力があるからこそではないでしょうか。現代社会に疲れたすべての人におくりたい、究極の優しい世界が描かれた見事な作品でした。設定、キャラ、展開、バランスが絶妙で、すぐにでも書籍化したいと満場一致の受賞になりました。
優秀賞は藤実花さん『能力を失った聖女は用済みですか?』です。
理不尽に追放された聖女が、隣国で価値を認めてくれるヒーローや仲間と出会い、聖女の力で活躍していく爽快な展開、結果的に自らを捨てた自国を無自覚に(そしてマイルドに)「ざまぁ」する流れも素晴らしく、まさに今人気の設定を押さえた作品です。聖獣など異世界ならではの設定を活かし、多くの審査員が納得の受賞でした。欲を言えば聖女のチートなどはもう一歩オリジナリティの強い設定があると、頭一つ飛びぬけた作品になったのではないでしょうか。さらに細かな書き込みをすることで物語の深みもぐっと増しそうです。
異世界恋愛ファンタジー部門賞は篠宮渚さん『ケモ耳旦那様の仮初めの寵愛~追放令嬢は最恐の悪役陛下に捕まりました~』です。
ヒーローが獣人という設定を活かし、レーベルカラーにマッチした“キュンとする溺愛”の展開が素晴らしい作品でした。主人公たちの恋愛感情が育っていく過程が丁寧に描写されており、“最恐”と言われていたヒーローの不器用な愛に読者はきっとキュンとするはず。物語の起伏も十分にあり最後まで引き込まれる内容です。一方で、“異世界ファンタジー”ならではの世界観の表現はやや不足気味に感じました。世界観設定とその描写がより丁寧になれば、読者に一層楽しんでもらえる作品になるでしょう。
異世界ファンタジー部門賞はなんと3作品の受賞でした。
花波薫歩さんの『辺境の貧乏伯爵に嫁ぐことになったので領地改革に励みます』は、聡明な公爵令嬢の活躍が痛快な作品です。向かい風を逆手にとって知見と人柄でどんどん領地改革していく様に、多くの審査員が引き込まれました。文章が明解で、お話の進め方も作家さんのテクニックを感じました。欲を言えば、ドラゴンの存在をより生かし、テイムやチートなどの異世界ならではの設定を加えることで異世界らしい世界観を広げていけたらよかったと思います。その点を意識すれば、上位入賞も狙えた作品です。
奏白いずもさんの『悪役令嬢は破滅回避のため幼女になります!』は悪役令嬢として転生してしまったヒロインが、破滅を回避するために幼女化する、と人気設定をおさえた作品でした。インパクトがあり、ポンコツぎみな幼女ヒロインが全編通して愛らしい作品でした。周囲の過保護描写も読んでいて微笑ましく、審査員一同癒されました。自身の破滅回避だけでなく、ヒロイン自身にチートや魔力を持たせ、周囲を巻き込んでハッピーエンドにもっていくような活躍があるとより物語に広がりが出たようにも思います。
古森きりさんの『転生した幼女賢者は勇者特科寮管理人になりまして』は、天才過ぎて妬まれている負けん気の強い幼女賢者が、凄腕勇者を育成し魔王を打倒するという最も個性とインパクトが光る作品でした。圧倒的な世界観の作り込みと、その発想力に多くの審査員が度肝を抜かれました。その作り込みゆえ、魔物討伐や戦闘についての説明が複雑だったりとレーベルカラーから少々逸れてしまっていた点で惜しくも部門賞とはなりましたが、これまでのベリーズにはなかった異世界ファンタジーの新たな風を吹かせてくれました。
最後は、プロット部門です。
雪野みゆさん『聴こえる冷酷皇帝と視える転生皇女と現す無口な公子』は冒頭のインパクトの強さ、流行りと面白さをしっかり押さえた設定感が評価されての受賞となりました。プロットの完成度が高く、冷酷皇帝と言われる父親がどう溺愛するのか、ぜひこのまま本文を読みたい!との声が非常に多かったです。
とまさん『ポーション屋を追放されたので、お茶屋をはじめたい。だってそれどう見てもお茶の葉ですよね?』は売れ筋をしっかり研究したプロット内容で、創作に対するアンテナ力、センスの高さを感じさせてくれました。ヒロインはもちろん、元婚約者がいいキャラクターをしており、彼をどうざまぁしていくのか想像させてくれる楽しさがあります。
三沢ケイさん『転生悪役令嬢の完璧(じゃなかった)セカンドライフ計画!』は悪役令嬢への転生という王道展開ではありつつも、ヒロインがゲームの開発者だったりバグばかりだったり…と、ひとひねりある設定に興味を惹かれます。また、プロットを読んだだけでも親近感がわくヒロインが魅力的で、レーベルカラーへの理解の深さがうかがえました。
今回はいずれの部門もレベルが高く、最終審査まで残った作品も多く審査が難航しました。異世界ファンタジーだからといって何でもありではなく、読み手が求める人気設定を意識しながら、自分ならではの個性を加えられている作品が多かったように思います。
また、新たな試みとなったプロット部門ですが、ポテンシャルの高さを感じさせる作家さん・作品に多く出会うことができました。まだ長編小説を書きあげたことがないという方も、プロット部門への投稿を糧に、ぜひ素敵な作品をご執筆いただければと思います。
「異世界ファンタジー」作品は、漫画化やアニメ化も多くされ、一部のコアなユーザーが楽しむものではなく、この数年で非常に大きな勢力に進化を遂げていると思います。このブームを巻き起こしているのは、作家の皆さま、読者の皆さまです。昨年の受賞作と今回の受賞作の系統が違うように、人気作品の傾向は日々変化をしています。商業化を考える場合は、投稿サイトやレーベルの既刊を研究し、変わっている部分と変わっていない部分を読み取り、そこにいかに自分の個性をミックスするかがポイントになってくるのではないでしょうか。
今回惜しくも賞を逃した方も、次回のテーマ、レーベルコンセプトを理解していただき、今後も作品を投稿いただければと思います。次回のコンテストでも皆様のご応募を心よりお待ちしております。
最終選考作品
異世界ファンタジー部門
※作品ID降順
異世界恋愛ファンタジー部門
※作品ID降順
ファンタジープロット部門
※作品ID降順
コンテスト概要
第2回となるベリーズカフェファンタジー小説大賞は、スターツ出版が発刊している大人気恋愛小説レーベル『ベリーズ文庫』に加え、2020年に創刊し、すでに大好評の単行本レーベル『ベリーズファンタジー』からの書籍化を目的としたコンテストです。
今回は「異世界ファンタジー部門」と「異世界恋愛ファンタジー部門」のほか、新たに「ファンタジープロット部門」を設けた3部門での募集となります。
プロット部門は、長編完結までは至らないけれど挑戦したい!という意気込みを応援します。
ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
応募要項
賞 | 大賞<1作品> 賞金10万円 書籍化(レーベル未定)・講評付き 優秀賞<1作品> 賞金5万円 書籍化(レーベル未定)・講評付き 部門賞<作品数未定> 賞金3万円 講評付き |
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募集内容 | 今回は3部門での募集になります。 ①異世界ファンタジー部門 異世界転生やトリップなど、異世界を舞台にしたファンタジー小説を募集します。 転生によりチートや最強スキルを授かったヒロインが異世界で活躍したり、恋愛の「ドキドキ」よりも「ワクワク」に重きをおいている作品はこちらの部門に該当します。例えば、追放もの・聖女もの・幼女もの・悪役令嬢・もふもふなど…人気設定を生かしたオリジナリティ溢れる作品をお待ちしております。 ※まったく恋愛不要というわけではありません。ヒロインの活躍をメインに書いている作品はこちらの部門へどうぞ。 ②異世界恋愛ファンタジー部門 ①と同じ世界観・テーマでありながらも、①と比べ「恋愛」を大きなストーリーの軸にした異世界ファンタジー小説を募集します。悪役令嬢のはずが、イケメン皇帝に見初められ恋愛が始まったり、婚約破棄されたはずが、隣国の王子から求婚されたり…ヒーローの魅力や恋愛模様が書かれた、心ときめく異世界恋愛ファンタジー小説をお待ちしております。 ③ファンタジープロット部門 異世界(上記2部門のような作品)にくわえ、ヒストリカルラブファンタジー(西洋・和風・中華など歴史的背景を舞台とした恋愛ストーリー)を含む女性向けファンタジー小説のプロットを募集します。小説は書いてみたいけれど、ハードルが高い、まずは編集からのアドバイスがほしい…などこれから長編小説を書いてみたい方のためのチャレンジ部門です。 【応募方法】 ベリーズカフェに新規作品として公開。 表紙に1,000文字以内の「物語全体のプロット」と本文に「主要キャラクターの説明」と「1~3話までの冒頭部分」を投稿・公開する。 ◆表紙 物語全体のあらすじ(1,000字程度) 物語の世界観を含め、この物語がどんなストーリーであるかを分かりやすく書いてください。どのように完結するのか、エンディングまでのおおよそのお話の流れを説明してください。 ◆本文 主要キャラクターの説明+冒頭部分プロットの公開 ①「主要キャラクターの説明」を投稿・公開する。 登場人物のキャラクター紹介(年齢やスペックなど)+主要キャラクターの個性や作品内での役割や魅力について記述してください。 ②冒頭部分プロットを投稿・公開する。 連載時に物語導入部となる「1話~3話までのプロット」を投稿・公開。(各300文字目安、合計1,000文字程度) ※募集締切段階で「完結済」に設定してください ※エントリーする作品がどちらの部門に該当するか不明瞭なものは、自分が目指す部門でエントリーしてください。あくまで、部門別のエントリーは入り口として設けるもので、審査結果には影響しません。 |
スケジュール |
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応募方法 |
STEP1 エントリーしたい作品の【作品編集】から、【設定】画面のコンテスト応募、第2回ベリーズカフェファンタジー小説大賞を選択します。 STEP2 エントリーする部門を選択、あらすじを入力してください。 STEP3 ページ最下部の【設定を保存する】ボタンを押すとエントリー完了です。
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原稿枚数 | 文字数に制限はありませんが、Berry's Cafeにて8万字~12万字を推奨しております。 |
応募条件 |
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注意事項および諸権利 |
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「第2回ベリーズカフェファンタジー小説大賞」に関するお問い合わせはtoi@berrys-cafe.jpまでお願いします。
(※携帯メールからの問い合わせの際、迷惑メール対策をされている方は受信対象ドメインにtoi@berrys-cafe.jpを指定してください。)
なお選考に関するお問い合わせ・ご質問には応じかねます。