第6回ベリーズカフェ短編小説コンテスト「悪役令嬢」

『悪役令嬢』

結果発表

最優秀賞 商品券1万円

『本当の悪役令嬢は?』鳴澤うた /著

出だしは鉄板な王子による演説シーンで入り込みやすく、またすぐにその場を去らないで証人・証拠が出てきて「断罪」や「シリアスさ」に厚みが出ています。

また姉妹が実は姉妹ですらない、という話なのが衝撃その①、実は「悪役令嬢」が2人いることが衝撃その②といった感じで作家の個性がよく出ているなと感じました。

1万字とやや文字数が少なく、また終わりが少々駆け足だったのでもう少し書き込んでもらえると物語全体の形がとても整うと思います。

優秀賞 商品券3千円

『リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~』汐埼ゆたか /著

悪役令嬢が追放される定番の流れから始まり、主人公が貴族社会のしがらみにとらわれず伸び伸びと辺境スローライフを楽しむ物語の流れがとても自然でした。

ファンタジーにありがちな設定の煩雑さを感じずに物語の世界に入り込めて、ファンタジー初心者の方でも楽しめる作品です!

その反面、悪役令嬢の要素がやや薄くなってしまったように思えたため、もう少し設定の掘り下げがあるとよりお話が引き立つと思いました。

優秀賞 商品券3千円

『十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!』翠玉 結 /著

13回も!ループしなくてはならなかった!エリーザをはじめとする登場人物たちの破滅回避の様子がそれぞれに感情移入できる構成で繊細に書かれていて、先が気になり読む手が止まりませんでした。

悪役令嬢に徹しようと自らを奮い立たせるエリーザの心の声に感情を引っ張られ、溺愛してくるクラウドの魅力に血圧は上昇…!

起承転の完成度が高すぎるあまり、結末が物足りないと感じてしまう読み手の欲深さを引き出す完成度の高いストーリーでした。(長編化希望)

優秀賞 商品券3千円

『悪役令嬢リセルの恋』涼川 凛 /著

転生したらシンデレラ…に出てくるイジワルな義姉でした、という童話が下敷きになった設定はファンタジー初心者が読みやすいので導入からヒロインの思考がすっきり順序だてもしやすくよくまとまっています。

ただ「シンデレラの前でだけ嫌なやつぶっている」という設定だったため、もう一人の姉が本当に嫌な性格であること、ヒーローとのシーンのほうが長いので「本当はいい子」であること、が際立ってしまい悪役というには少し物足りなさを感じました。

全体の流れ・テンポが定まっており読みやすかったので次は「読者の印象になにが強く残るのか」を気にしながら書いてみてほしいです。

佳作

  • 『私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望?』滝井みらん /著

ハマっていたアニメ一番の嫌われキャラに転生してしまった主人公と、転生後の彼女に少しずつ心を開いていく皇太子。

二人が徐々に惹かれあっていく過程がときめきを交えて描写されており、素敵な恋物語でした!

タイトルにある「修道女」やコンテストテーマの「悪役令嬢」といった要素が少ない印象を受けたので、その点も物語に組み込んでいくことでさらにファンタジー作品ならではの良さが味わえるようになると思います。


  • 『BLゲームの悪役令嬢は終わってます!』古森きり /著

まずはこの作品をベリーズカフェで読める時代が来たことに感謝いたします。「BL世界の悪役令嬢」というもはや出オチとも取れる設定を、見事なテンポと高い筆力で書き綴った爽快作です!

審査会はこの界隈に未熟なメンバーが「壁」の意味を知らず、別メンバーが説明するというイベントも発生し、大変盛り上がりましたが、テーマに対しては適合が厳しいという結論でした。

何はともあれ、見事な転職活動の結果に拍手を送りたいと思います。


  • 『本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。』氷雨そら /著

悲惨な結末を繰り替えしてしまう大事な存在を救いたい…という切愛展開に引き込まれましたが、運命を乗り越えて結ばれる2人の想いにフォーカスされたエピソードが多く、どうしても悪役令嬢の際立ちが少ないように感じたのが惜しい部分でした。

短編としてのまとまりがよく、シルフィーナとエディルのお互いへの献身が心にしみるラブファンタジーでした。


  • 『婚約破棄?喜んで!~溺愛王子のお妃なんてお断り。私は猫と旅に出ます~』碧空宇未(あおぞらうみ) /著

短い中で起承転結がはっきりしており、物語自体は大変良く書けています。しかし話の軸が「追放」「猫(もふもふ)」でも成立してしまいそうな印象であったため受賞には至りませんでした。

メインヒーローが最初に婚約解消をしようとした王子であったり、王子の言い分がやや子供っぽいのも気になったので恋愛に発展しないまでも、もう少しカッコよさのある男性キャラが一人いるとよりお話が濃い味になるのではないでしょうか。

だが、猫はいいぞ。

最終選考に残った作品
  • 『念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される』霧内杳 /著
  • 『いつでも婚約解消できるはずだったのに!?~兄ルート?弟ルート?それとも……?~』鬼ヶ咲あちたん /著
  • 『冷酷な処刑人に一目で恋をして、殺されたはずなのに何故か時戻りしたけど、どうしても彼にまた会いたいと願った私を待つ終幕。』待鳥園子 /著
  • 『悪役令嬢に捧ぐ献身』みなべゆうり /著
  • 『殿下は殿下の心のままになさってください。』鈴宮(すずみや) /著
  • 『殿下、溺愛する相手がちがっています!』深月カナメ /著
  • 『ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!』やきいもほくほく /著

今回は短編コンテストでは初の異世界ファンタジー「悪役令嬢」がテーマ!

ベリーズファンタジースイートも創刊し、今盛り上がっているジャンルということでご参加いただいた方も多かったのではないでしょうか。


今回はベリーズカフェ編集部3名で審査を行いました。


前回に引き続き講評を書かせていただきましたが、作品数が多かったため「最終選考に残った作品」はタイトルと作家名のみの掲載とさせていただいております。


女性向け異世界ファンタジーブームの中でその地位を確立している「悪役令嬢」

とはいえ「ストーリー中で悪いことをしているご令嬢」なわけではないので、どこでヒロインたちの個性を際立たせるかで作品の雰囲気が大きく変わってくる印象です。

キーワードが「聖女」や「追放」でも成立してしまうお話も多かったので「悪役令嬢らしさ」で差がつくともっと読み応えのある作品が増えるのではないかと思います。


次回のファンタジーテーマは未定ですがまた開催いたしますのでぜひご参加をお待ちしております。

次回コンテストも準備中!お楽しみに♪

エントリー期間

2023年3月1日(水)~2023年5月1日(月)

コンテスト概要

ついに短編コンテストにも「異世界ファンタジー」が登場!第6回のテーマは「悪役令嬢」

女性向け異世界ファンタジーブームの火付け役(?)である悪役令嬢が活躍するお話を募集します。


隔月開催で様々なテーマの作品を募集していきますので、

「長編小説の完結はハードルが高い」

「普段とは違うテーマの作品を書いてみたい」

という作家さんも、ぜひ気軽に参加してみてくださいね♪


テーマに沿ったものであれば、既存作品でのエントリーもOK!ご応募お待ちしております。

応募要項

最優秀賞(1作)

商品券1万円


優秀賞(作品数未定)

商品券3千円


※該当作なしの場合もあります。

応募資格

不問(プロ、アマ、年齢等一切問いません)

応募方法

STEP1

エントリーしたい作品の【作品編集】から、【設定】画面のコンテスト応募第6回ベリーズカフェ短編小説コンテストを選択します。

STEP2

エントリーする作品のあらすじを入力してください。

STEP3

ページ最下部の【設定を保存する】ボタンを押すとエントリー完了です。

  • 事前にBerry's Cafeに会員登録の上、作品投稿をお願いいたします。
  • あらすじとは、ストーリーの全容、登場人物の設定や大きな流れを簡潔に明記したもので、あらすじの内容を元に審査を進めさせていただきます。
  • コンテスト応募のあらすじは、他のユーザーには公開されません。(エントリー締め切り日まで編集できます。)

原稿枚数

「Berry's Cafe」上で、作品本文を文字数3万2千字以内に収めてください。

(1ページの最大入力可能文字数は1万5千字です。)

※あらすじの文字数(400字程度)分については、審査時はカウントいたしません。

対象

応募サイト「Berry’s Cafe」で読むことができ、完結設定をされている作品


以下に該当する作品のエントリーは不可となります。

  • 「Berry's Cafe」の規約に反するもの
  • 過去に書籍化されたもの
  • 書籍化の予定があるもの
  • 本人以外に著作権及び著作隣接権があるもの
  • 現在開催中である他の文学賞に応募しているもの
  • そのほか当編集部が不適切と判断したもの

注意事項

  • 複数作品のエントリーを可とします。
  • 新作を推奨しますが、テーマに沿った作品であれば、既存作品での応募も可能です。
  • 完結締め切り後の作品内容編集は、誤字脱字の修正のみ可とします。番外編等の追加を含む大幅な内容の編集をされた場合、失格となります。なお、完結締め切り後に作品掲載ポリシー違反が発覚した場合も同様に失格となります。
  • 受賞作品以外の作品につきましては、選評を差し上げる予定はありません。

スケジュール

  • 2023年3月1日(水)エントリー開始
  • 2023年5月1日(月) エントリー及び完結締め切り
  • 2023年6月中旬頃 結果発表

※スケジュールは変更になる可能性がございます。

諸権利

受賞作品の出版権、雑誌掲載権、インターネット上への掲載権、コミカライズ権、映像化権等は、スターツ出版株式会社に帰属します。受賞作品の全部または一部を、スターツ出版が発行・運営する紙面、インターネット・スマートフォン向けサイトに掲載することがあります。

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