「笑っている人を見ると、私も笑顔になる。それで、私を見た人も笑うの。そうすれば、世界中が幸せになるのよ！」 　しがない大学一回生の僕は、人の感情を色覚化して見ることができる。……いや、見ることができるじゃないな。嫌でも目に入ってしまう。というのが正しい言い方かもしれない。自殺しそうな人、詐欺師に騙されている人、僕には分かるけれど、助けたところで、僕に対してメリットがあるわけじゃない。それに、そんな人達全員を助けようなんてのは土台無理な話だ そんな人とは少し違う僕だが、あることがきっかけで出会った彼女の感情は僕にも分からなかった。純真無垢という言葉が似合う彼女は、困っている人達全員を助けると言う。 全く無茶な話だ。 これは、そんな彼女と僕の物語。