櫻いいよさんのレビュー一覧
シャーペンを忘れた君。 1本のシャーペンを貸した。 少し意地っ張り、だけどすぐ思っていることが顔に出てしまう主人公。 それでも口に出して伝えたい。 一つの思いで一喜一憂してしまったり、憎んだり、踏み出したり、時には逃げ出してしまったり。 だけどきっと帰ってくる場所はいつも一緒。 周りにはいつも自分を支えてくれる友人。 だからこそきっと迷っても迷っても、気持ちだけは揺らがなかったのかも知れない。 そして出会いから――全てをきっと、にんまり顔で見ていただろう一本のシャーペン。 シャーペンだけはもしかしたら…最初から全て、気付いていたのかも知れない。 可愛い。だけど必死な彼女たちの真っ直ぐな思いを、是非ご一読ください。
彼氏の家 どきどきの展開 そこで気付く自分の失態 靴下に穴が…! 女の子ならばきっと誰もが気にするところ。 まだまだ「これから」のカップルにとって、大事件。 どうにかして隠し通さなくちゃ ばれないようにしなくては!! かわいい乙女心。 思わず共感してくすりと笑ってしまいます。 そしてそんな彼女にピッタリ!と感じる彼のかわいさもあって二人を包むほんわかとした空気がとてもよかったです。 ファンタジージャンルになっておりますが、恋愛もしくはコメディジャンルの様な気もするのですが… 女の子たちに。こんな失敗をしないように、是非読んでみてほしい作品でした。 だけどちょっと、こんな失敗も二人の思いを確かめ感じ合うのにいいのかもしれません。
クラスの一匹狼の男の子。 だけど知ってるんです。ホントはホントは、優しい事。 だから何度でも何度でも、揺らぐこともなく恥ずかしがるなんてことも当然無く「好き」 うざそうな表情も きつい目も 何も気にならないくらいに 「大好き」 真っ直ぐすぎるほどの恋ゴコロ。 何があっても揺らぐことがない程の愛情。 だからこそ、そんなにも強い思いだからこそきっとみんな、影響されていくのかも知れない。 飾らないで 素直な言葉で 何度でも口にして。 個性豊かで魅力的な登場人物たちの繰り出す学生生活は、真っ直ぐで、キラキラと輝く。思わず読みながら笑みがこぼれてしまいました。 恋をしたい人もしている人も、是非読んで欲しい作品です。
突然訪れた両親の死 たった一人の家族でもある兄と離れ、 新たな家族との生活 新たな学校に 新たな友達。 親友の裏切りに心を閉ざし、愛想笑いで過ごしてきた主人公は、新しい環境での一歩を踏み出し始める。 裏切られ 心を閉ざし 諦めて力なく笑う その中で出会いいつしか心惹かれたのは、直感だったのかも知れない。 この人となら、本当の自分で この人とならどこまでも 逃げ出したいと願う それは正しいのか間違いなのか だけど逃げなければ見えない物もたくさんあるんだと。 先に感じる不安にドキドキしながら読み進めました。 錠は開けるも閉めるも自分自身。 閉ざした錠にも必ず鍵はある。 変わりたい。 その気持ちから全てが開けるんだと教えてくれるステキな作品でした。 是非、ご一読ください。
小さい頃のケガにより片目が極端に視力が悪くなり、光くらいしか感じない主人公 そんな主人公にケガを負わせた責任からか、つねに傍にいる男の子 ゆらゆらと流れに身を任して泳ぐ金魚のように、「人と違う自分」を感じながら過ごしてきた。 まるでそれは、水槽に入れられた孤独な金魚 片目しか見えない だから塞がないで だけど見えるはず 気付けなかったのは 目を閉じていたから 気付かないように 目を開かなかったから 独特な語り口調がとても魅力的で一気に読めてしまいました。 ひねくれて、自虐的。 だけどそれで守っていたものは…? 自分を守る術はなによりも、自分を傷つけているのかも知れない そんな風に感じました。 素敵な作品を是非、読んで見て下さい。
あるものを持ち、王子という身分を偽って出かけたディオ。 そしてパイロットとして共に行動することになったダナ。 旅に隠された思いと真実。関わっていく人の過去。 本来なら関わることはなかった。だけど関わってしまったからこそ見えるもの。 知らなかったもの、知らなかった自分。 多くを失ってたくさん傷付いて。 一人だったら無理だったかもしれない。 傷付かなかったらわからなかったかもしれない。 だけど… 踏み出したその先に空はなくても、きっとずっとそこに空はあるんだ。 駆け抜けるように 必死で彷徨った二人を是非見届けてあげてください。
出会いは突然。 学園の王子様とちょっとした(不注意の)事故により関わることになってしまったアヤ にっこりと王子様のように笑うその裏は 強引で、我が儘で意地悪な俺様。 お馬鹿な主人公と、そんな俺様の秘密ライフ。 いつのまにか振り回されていつのまにか心の中に侵入してきて… 乱される心と、毎日が事件の学園生活。 ハイスピードに 時々お馬鹿に 笑いをふんだんにちりばめて、そして時々切なくて嬉しくて 何が起こるか分からないから毎日必死。 分からないからもっと一緒に。分からないからもっと話して。 もっともっと まだまだ、これから。 きっとずっと続く秘密ライフ。 その始まりを、笑顔と共に是非読んで見て下さい。
おデブのヤエちゃん。 そんな過去を持ち、そしてそれに深い傷を負った。 だから、見返してやる! 努力して乗り越えて、痩せて可愛くなった自分。 だけど再会した初恋の人は覚えてないうえに・・・変わり果てた?! エロくてバカで、どうしようもない男のコ。 個性豊かな周りの友人。 不器用に必死で 不器用にまっすぐで 思わずくすっと笑えてしまう彼らの日常。 不安もあるし、悩みだってたくさんあるけど、だけど過ごす毎日は輝いているんだなぁと感じる彼らの恋愛、友情。是非覗いてみてください。 もぅ、どうしようもないなぁ、と思いながらも愛しくなってしまいました。
死のうと思った夏の日 その日、一人の男の子に出会った。 「今ここで死んだつもりで、少しの間だけ、お前の命、俺にくれない?」 そんな言葉から始まった。出会ったのはたまたま。 死ぬつもりだった もう終わらせるつもりだった。 だけど芽生えていく「希望」と「願い」そして「真実」 ゆったりと進む短い二人の無謀な旅。 じわじわと溢れる二人の気持ちに胸が熱くなり涙も溢れました。 二人の過ごしたこの夏の日。そこで見つけた忘れることのない宝物を、一緒に心に残してみませんか? それはきっと、読んだ人の心にも宝物になるかもしれない、そんな風に感じます。 たった一瞬でも、終わっても始まっても笑って踏み出して。 心は常に永遠に。 素敵な作品でした。
夏の思い出は、夏祭り。 大好きな人に、友人が告白をしたあの日。 友人に素直になれずに逃げたあの日。 笑顔で友人を送り出したあの日。 何年経っても思い出すのはあの日の苦く辛く切ない夏の日。 そんな思いを抱いたまま年を重ねた主人公。 好きな人も出来たし付き合ってきたし、そしてプロポーズだって。 だけどどこか心の中に残るあの夏の日が歩みを妨げる。 見えない思いは自分を殻に閉じ込めて、言えない思いは自分を偽って。 「頑張って」 その一言に込められる言葉に勇気を出して。 柔らかく切ない夏の思い出と、そして今と未来。 読後に爽やかな夏の終わりを感じる作品でした。 是非ご一読を。
好きすぎる。 それは時に純粋で、だけど時に残酷で、そして儚くて、強い。 彼女のいる幼なじみと夜だけの関係を持つ主人公。 それでいい、それだけで良いと思っていた。 太陽が出ている間は他人のように、月の元でのみ恋人のように。 だけどどんどんど蝕んでいくように心に広がる「好き」の気持ちと「もっと」の気持ち。 手をさしのべる一人の男。 手を伸ばしたい一人の男。 差し出したいのに差し出せない男。 複雑に絡み合う関係と気持ちと状況に先がどうなるのか最後まで分からなかったです。 どれが正解で、どれが正しいのかは分かりませんが、この作品の結末に一つの愛を感じ、そして自分ならどうするだろうと、愛について考える事が出来ました。 深い愛。 このそれぞれの愛に、是非読んで自分の愛を重ね考えて見て欲しいと感じる作品でした。
小説家として歩み始めたあの頃 期待に胸を膨らませ 夢を抱いていたあの頃 そして今―—… 何をしたらいいのか わからないままもがき続け、そして味わう絶望の中、手を差し伸べてくれた人。 歩みだしたその先には、気づけなかった思いや気持ち それぞれの思い。 そして自分の強い思い。 ―—もう泣きません。 その強い主人公の気持ちと、その先にある未来。 主人公の思いが散って、積もって、そしてまた新たに咲き誇る桜の様に感じました。
一部と二部で成り立つこの作品。 言葉は少なく 貢数ももちろん少ない けれどその中には抱えきれないほどの、言葉に出来ない程の愛が溢れていました。 こんなにも、純粋で こんなにも、儚く こんなにも、強い そんな想いが伝わってきました。 胸に暖かさが広がるこの作品を、是非 多くの方に読んでいただきたいと思います。 この作品を見つけたこと そして読めたことに 「ありがとう」を。
彼らは、生きるために死をも覚悟をする。 これからのことを見据えて、今を生きる。 コレで言いと思いながらも、コレで良いのかと不安を抱きながら。 そんな同じ状況で、同じ心境で同じ時間を共に過ごす彼ら。 教え、教えられ、気づき気づかされる。共にいるからこそ言葉にしなくてもわかり合える。 そんな彼らの精一杯に生きていく中のひとときを、是非のぞいてみてください。 こんな時代もあったんだと、こんな風に精一杯の日々を過ごしていたんだと、そう感じ、今を考えさせてくれる作品だと思いました。
春が来ると何かが変わる。 だけどそれが受け入れられない。それが自分には似合わない。 そんな自分の思いのままに行動する気持ちと、だけど不安や迷いがない訳じゃない。 だけど だけど だけど… 漠然と感じる不安。迷い。だけど譲れない時部の気持ち。 どうしようもなく苛ついて誰かに何かに八つ当たり。 きっとだれもが一度くらいは体験したことがあるのではないでしょうか。 読後、何となく応援したくなる、そんな優しい作品でした。