楓 十色さんのレビュー一覧
単純にこういう風変わりな(失礼。笑)作風が好きです。 これいいですよ。 それこそ宮沢賢治や村上春樹の短編が好きな人にはお勧めです。 僕はどストライクに好きです。 ほろりと夏の哀愁を感じます。 でも彼はきっとすごく喜んでいるんだと思います。 いいなあこれ♪
不思議な世界観、レトロな雰囲気のバー、ちょっと変わったマスターに、頭に樹が生えた彼。 恋愛に臆病で奥手な二人のハートウォームな恋物語。 彼の頭には樹が生えていた。 だけど、彼はいたって普通の人で、いたって無口で傷つきやすい人で、とても優しい人でした。 とてもほっこりします。 最後の彼の言葉に、きっと多くの読者様が深く頷くことと思います。 彼は無口な人だけど、彼の言葉には真理がある。僕はそう思います。
是非二度読んでください。 最後まで読んで、もう一度最初から。 二人が再会し、楽しく交わす会話の一つ一つが切なくて暖かいです。真っ直ぐなさくらの気持ちに涙が出ます。そんなさくらを笑顔で迎え、何一つあの頃と変わらなく振る舞うレンの気持ちを考えた時、彼の懐の深さ、人としての大きさを感じます。 短編ですが、とても胸に響く素敵な作品です。
過ぎ去った日々は戻らない。時間を巻き戻すことはできない。大人になって、世間を知って、あの時あーしておけばとタバコを吹かしながら昔に思いを馳せてみても、あの頃に戻ることはできない。 だからこそいまの自分がある。 だからこそ、いまこの時を大切に生きていかなければならない。 そんなことを考えさせられる短編でした。読むほどに味のある作品です。打ち寄せる波の音とともに、昔の記憶が蘇ります。 ぜひご一読を。
震えるような文章。読み手を圧倒する熱量。 主人公の静かな独白が、僕には痛いほど激しく悲痛な叫びに聞こえました。 どうか読んでください。 言霊を感じて、胸の奥から震えてください。
一瞬で終わるからこそ美しい。一瞬だからこそより美しく、儚く、切なく、愛おしい。 だから壊す。 その壊れるまでの過程が美しければ美しいほど、その美しさは永遠となり、切なさは棘のように刺さったままいつまでも抜けない。 その時を迎えるまでの二人の時間が長ければ長いほど、途切れた瞬間の愛憎は深い。 だから、壊す。 静と動。 愛と憎。 光と影。 人を惹きつける術を、嗅覚で知っている人だと僕は思っています。
独特の間が好きです。 情緒がある、というのはこういうことを言うのだなと思うのです。 僕はこの手の作品は好物です。これはもう、理屈抜きです。 ただ鎌倉で猫が雨に濡れているお話しです。鯉に食べられないようお気を付けて。
ヘンテコなお話しです。 でも、僕がもういい年だからでしょうか。こういうのも面白いなあと思うのです。 とにかくヘンテコなお話しです。癖になるヘンテコっぷりです。 まあ読んでみてください。ついつい絵本なんぞ描きたくなってきます♪
とにかく冒頭。 たった一文で「夏休み明けの教室」の雰囲気を表現しきっているのが凄いと思いました。 僕は常々、よりシンプルな言葉で読み手のイメージを膨らますにはどうすれば良いか考え、文章を推敲しています。 もし同じような趣向をお持ちの方がいらっしゃれば是非読んで欲しいと思います。 ラストの一文にも心を奪われます。 さざ波のような感情まで手に取るように伝わってきました。
ダメ男を好きになった。 でも、彼は彼なりに一生懸命生きていた。私がいなければ、この人はどうなるんだろう。 そんなやつ捨てちゃって、もっと自分の幸せを追いかけなよ、と僕なら思う。 でも、彼は暴力を振るうわけでもなく、さも当たり前のように引きこもっているわけでもなく、いまの自分が嫌いで変わろうと頑張っている。でも、簡単には変われない自分にもがき苦しんでいる。 あなたならどうしますか? 僕は、この作品を読んで心が揺らぎました。人から見て一番と思える選択肢が、本人にとって一番の幸せとは限らない。当たり前のことだけど、それを改めて感じさせられる作品でした。
嫉妬にも似た対抗心と、純粋に「ああ、これ好きだわ」という思いが折り重なって、激しく僕の創作意欲を駆り立てました。 短編です。 行間を読ませる技術がずば抜けて好みです。 「私」はなぜキャンバスに白を塗り続けていたのか。それは「純白」の白か、「光」の白か、あるいは「死」の白か。 それぞれの白をイメージして読めば、そのたびに違う景色を見せてくれる。 儚くて切なくて淡くて、なのにとても力強い作品だと感じました。
こういう作品もどんどん読まれるようなサイトであって欲しい! 切実にそう思える素晴らしい作品でした。 描写がたまりません。ずば抜けて僕のどストライクど真ん中直球160km/sです。 ここまで丁寧に描写を重ね、演出や小道具(と僕はそう読んでいます)を駆使して主人公の仕草や表情や溶け込む風景を映像化することのできる作家様に初めて出会いました。 打ち上がった花火の振動が、確かに僕にも伝わりました。
たまらなくどストライクです。 鎌倉パラレルワールド。 まるで宮沢賢治のイーハトーヴ、あるいは村上春樹を彷彿とさせるその世界観にどっぷり浸かっていたい方にオムムメします。 舞台が鎌倉ということも相まって、陰陽師やプチオカルト(造語です)好きの方にもピタリとはまりそうな気がします。 月が冴える夜にぜひ。
甘美にして暴力的 時としてこういう作品に惹かれるときがあります。これは妄想か夢の世界か。まるでシュールレアリズム。 甘美に囁かれ、頬に触れられ、火照った身体を持て余したまま激しく殴打される瞬間、ポタリ、ポタリと脳液の垂れ落ちる音が聞こえてきます。 仄かなエロスを内包した文学です。 ベリーズの渡辺淳一です。 ぜひご賞味ください。
著者氏の別の顔を見た思いです。こういう作風もこなすのかと、その引き出しの多さを痛感します。 著者氏独特の句点配置や言葉のリズムはほかの氏の作品と同じなのに、ここに一歩足を踏み入れただけでガラリと雰囲気が変わります。 それほど多くの描写をしているわけでもないのに、鼻を突く匂いや、ざらりとした肌触りや空気感が体にまとわりつくようです。 異文化です。 まるで外国にやってきた気分です。 ちょっと大人です。 激甘な作品たちに辟易したら、ここに来てみてはいかがでしょう。きっと「クセ」になります。
これは本当に素敵なお話しです。暖かい涙が静かに頬を伝います。 上のレビュータイトルは僕の言葉ではなく、作中の兄が妹に贈る言葉です。 もしこのタイトルに惹かれてこのレビューを開かれたのでしたら、どうかこの小説をご覧になってください。 こんなにひっそりと公開されているなんて信じられません。もっともっと、たくさんの方に読んで欲しい。 文章も洗練されていて読みやすく、言葉の選び方やちょっとした表現の演出が素晴らしいです。
コラボ作品とのことで、表紙からして新参者には若干敷居が高く感じられ、手に取るのを少し躊躇ってしまいます。僕は、表紙に綴られている方を残念ながら存じ上げません。 でも、良いものは良い。 好きなものは好き。 読み終えてそう感じたので、敢えてレビューを置いていこうと思います。 なんの先入観も持ちあわさない僕は、ただ一つの短編小説として読みました。作中登場する一風変わったキャラクター達にとても興味を持ちました。純粋にもっと読みたいと思いました。宮沢賢治の銀河鉄道の夜や、村上春樹の羊をめぐる冒険の様でもあり、こういう世界観がことの外好物な僕にはどストライクな作品でした。 敷居は気にせず、どうかぜひ。
色々と胸につまされる作品でした。 引き込まれます。 唸らされます。 作中で語られる「あなた」と言う言葉。この、あなた、という言葉には二つの意味があると思うのです。 愛する夫に向けた「あなた」 赤の他人に対して使う「彼方」 それに気づいた時、僕はとても切なくなりました。たまには残業をやめて、早く家に帰ろうと思います。
久しぶりにここに来て、久しぶりに小説を読んで、久しぶりにレビューを書こうと思いました。やっぱり小説はいいな。素敵だなと思わせてくれる作品でした。 どこかノスタルジックな作風は、きっと、僕ら世代の読者さまの子供ごころを揺さぶり、懐かしさや、甘酸っぱさや、ほろ苦さや、温もりや、そうした色んな気持ちを思い出させてくれることと思います。 けして衝撃的ではなく、むしろ時の流れをたゆたうように、エンディングに向かって緩やかに紡がれていく文章に、作者さまの思いが込められているように感じました。 見上げた空の青は、望んでいた青ではなかったかもしれない。けれど、それもまた、それぞれの青なんだと。
ただただ純粋に面白かった。 主人公と一緒に笑って、泣いて、悩んで、苦しんで。時々そんな主人公を横目に外から「あんたも鈍いね」なんて突っ込んでみたり。 野いちごに、それこそ星の数ほどある「泣ける物語」の中で、もし読者に選ばれるなら、是非こういう作品・作風・文体であって欲しい。 そう切に願います。 何よりタイトルが素敵でした。きらきらと輝いていて、どこまでも透き通ったこの作品にピッタリでした。