大人が無責任に自分の欲のまま産んだ不倫の子の苦悩がよく伝わってきました。誰より身勝手な由美の父親は最後までろくな言葉もなく逃げていったように思います。詫びの気持ちがあっても、それを伝える努力をしないのは逃げ！どこまでも卑怯な男だ。作中、博子は善人として描かれていないけど、気持ちは分かるなぁ。由美に罪はなくても、夫からなんのフォローもなく、祐実だって気持ち悪くて仕方ないのも分かる。自分の母親を裏切ってできた存在、簡単に受け入れられない。虐めたり、、は酷いけど、、。無関心になるのは無理もない。由美自身がしっかりしていてだからこそ可哀想です。大人の身勝手をすべて押し付けられて。そういったドロリとした背景を、しつこくなく表現されててすごいなーと思います。直哉も頼りなかったけど、成長してくれてよかった。今度は身の回り警戒して、由美を哀しませないように！

優しい嘘、ではろくでもない妹夫婦でしたが、視点変われば駿が桃花を好きなった理由はまともだった。まだ姉との関係が明確に彼氏彼女じゃなかったとはいえ、バレ方は浮気バレのような感じ。駿がもっと潔くすればよかったんだろうけど、、。難しい。よくなかったのは、自分の気持ちばかりを押しつけちゃうところかな？裏切った本人が、浮気相手を許せ、と迫るのは無神経だし、子供ができない妻がいるのに、シンママの子を可愛がるのは酷だぞ！傲慢さが浮き彫りになったので、いつかこれで痛い目に駿にはあってほしい。

Mamo先生の優しい表現だから緩和されてるけど、心はなかなかのクズっぷり。初手騙されたとしても、その後数え切れないほど関係して言われるままに避妊しないで。佳希とは避妊してるから、気持ちよさに負けたんだろうな。嫁（入籍もまだ！）視点でブログでもつけたら相当のドロドロ展開だったろう。失うものの大きさに気づいてEDというところなとも！はじめからそうなってたらよかったのにね。前撮り写真とか楽しんじゃってるあたりなんだかんだ悪い気もしてない様子が垣間見える。まさに有頂天！こんなクズがいるのに、全体的に切なく仕上げられ、未来がただの悪女として終わることなくいずれ佳希とも和解できる日がみえる、Mamo先生の表現力に改めて脱帽。どの作品も素敵ですが、Mamoさまここに有り！て感じの作品だと思いました。

華、ちょっと人が良すぎやしませんか？受け身で流されてきた華も確かに悪いけど、大木さん、やってることは非道です。不倫純愛論もありますが、要は女が離婚できたから一緒になろうって自分たちに都合よすぎ。華を解放するならもっと早くにできたんじゃないの？若い女の時間を奪っておいて。二股からのデキ婚、結婚前からの恋人と継続不倫。女は子供欲しがってってさ、もし華が子供産んでて女との間の子と知らず出会って父親が女の子供ばかりに笑顔向けてたら哀しいのね。子供を不幸にする未来を考えてない。純愛したいなら二人でやって。華にたまたまいい男があらわれてくれていたのが救いです。

友子の反応はいたって当たり前なのでは？10年来の友達を先に裏切っておきながら友子が実は計算高くて裏切られてたって主人公はなにを被害者のつもりでいるんだろうか。旦那を寝取られて、脳天気な妻だとまで思っていた主人公の方が、友子からすれば余程醜悪で裏切らてる。視点が変わればボロクソ言われるのは主人公だわ。

途中までじりじりと進み面白かったし、まさか不倫相手と彼が繋がってた、とびっくり。そっちの駆け引きも面白かった。夫がなんだかんだと妻も捨てることはできずにいた。進み始めた妻に現実を見始めた夫、これからさぁどうなる、というところで急にしぼんでしまった感じ。タイトルの伏線回収的なラストはよかったけど、我が身かわいい個々の内面を読みたかったです。ぜったい描けそうな作者さんなので、あえてそこはすっとばしたんでしょうか。

薫さんははじめ唐突に感じたけど、そこから気持ちを深めて二人の絆をゆっくりと作っていくさまが安心できて心地よかったです。薫さんの姉への愛も、妹だからこそ受け止められて妹だからこその葛藤もあるかもしれないけど、この二人なら大丈夫な気がします。お幸せに！

ちなみに楓はサイテー！勝手に浮気三昧でどれだけ傷付けてるか、嫌がらせを彼女たちがしてなかったら継続してたんだろうな。失ってから気付いたってそれだめなやつ！ちゃんと謝れ！