高校2年生の早見陽向（はやみひなた）はいつも死にたいと思いながら毎日をただ淡々と過ごしていた。 ある日、もう死んでしまおうかと踏み切りに入ろうとしたその時、 クラスメイトの望月灯里（もちづきあかり）に声をかけられる。 「死ぬならさ、私と賭けをしようよ」 突拍子もない事を笑顔で言い放つ灯里に死ぬ気が削がれ、とりあえずと彼女の話を聞き、 賭けに乗る事にした陽向。 「君が勝ったら君は生きる、 私が勝ったら、君には死んでもらうね」 それからふたりは毎日賭けをする。 小さな賭けから少し大きな賭け。 次第に距離が縮まるふたりだが、 灯里には誰にも言えない秘密があった。

経済的に何不自由なく暮らすも両親から愛情を受けず育った桐生一哉(きりゅうかずや)は義務の様に代わり映えのしない毎日をただ生きていた。 ある日ひょんな事からひとりの少女、冬野柚葉(ふゆのゆずは)と出会う。 柚葉は父親の死後、それまでの裕福な生活から一転貧困に陥った事によるストレスから母親の虐待を受け続ける生活を送っていた。　 そんな毎日なのにいつも明るく笑顔の柚葉と過ごす内に一哉の代わり映えのしなかった毎日は少しずつ変わっていく。 そんなある日、柚葉はいつも以上に母親から暴力を受け頬は腫れ上がり長く艶やかな黒髪は見るも無惨に不揃いに切られてしまう。 そんな柚葉を見て一哉は言った、 「殺そう、あいつを」 それはただ彼女を救いたい、守りたい、そんな思いから出た言葉だった。 ――はずだった。 複雑に絡み合う人と人を繋ぐ糸を手繰り寄せ次第に明らかになる真実に少年と少女は知る、 本当に愛する人は誰か、 自分は誰に愛されているのか、 自分は誰を、愛しているのかを。 そして、復讐は連鎖する――。