魔力―― それは、セレスト国では人の価値を決める絶対的な力だった。 けれども、私――第三王女アリシアには、 その「魔力」が無かった。 だから「存在しない者」として扱われた。 「友好の証」としてソレア国に嫁いだものの、 ここでも私は誰からも必要とされなかった。 ただ一人の騎士をのぞいては……。 ※他サイトでも投稿している作品です※

セリーヌは自らの聖女としての力が衰え始めたことを感じていた。 27歳という異例の長さを誇った彼女の任期も、いよいよ終わりを迎えようとしていた。 教会の神官たちは彼女の功績を称えつつも、次の聖女選定の準備を始めている。 一方でセリーヌ自身は、これからの人生について考えていた。 聖女である間は結婚ができない。 そのため結婚は年齢的に諦めるしかなく、一人で生きていくしかない。 静かな田舎でスローライフを送ろうかと思っていた矢先、 第二王子アレクシスからの求婚が舞い込んだ。 アレクシスとは幼い頃に一度会ったきりだが、 その時に恋に落ち、セリーヌが聖女を降りる日を待っていたのだという。 しかしもう一人、 セリーヌが聖女を降りる日を待ち望む者がいて――。 『１話だけ大賞』応募作品です。続くような終わり方をしていますが、一旦はここまでとなります。