かなさんのレビュー一覧
親がウザい。ハブられてる友達のこと、見てるだけ。社会人の彼氏からは、あまり連絡ナシ。そんな、ゆううつでスッキリしない日常を過ごす主人公。でもある日、転校生として一人の男子がやってきてーー。 毎回ながら、幸さんの文章はすごく自然に心に入り込んできます。今回は、流れ込む文章の心地よさに加えて、強いメッセージを受け取ることができました。 まさに、今10代である方に、読んでほしいと思った。何もかもうっとおしくて、イライラする毎日。でも本当は、自分がどんなに周りに守られて、包まれているか。そのことに気づけるヒントが、このお話には沢山散らばっているから。 あなたは大丈夫だよ。 もっと強くなれるし、もっと素敵な人になっていけるよ。泣いたっていいよ。大丈夫だよ。 終盤のお母さんの言葉に、思わずうるり。作者さんの、暖かくて真っ直ぐで、心強いメッセージを、是非受け取ってください。
ある日突然、クラス内にシニガミチェーンメールが送られてくる。メールを受け取った生徒は、だれか一人に回すこと。最後までメールが回ってこなかった『モルテ』は、消される―― ホラー、普段はあまり読まないのですが、このお話は最後まで一気読みしてしまいました。 シニガミチェーンメールのルールにのっとり、何人も生徒が消えていく。その消え方が、いちいち飽きさせないんです。読み進めて、新たな展開に出会う都度、作者さんはお話作りが巧妙なんだなぁ!!と感服の思いでした。 絶望感、裏切り、本性、浮き彫りになる力関係。 後半になるにつれて、生徒たちが狂っていくかんじは、シニガミの存在より怖いものがありました。明日はどうなる。明日は我が身。友達が友達じゃ、なくなっていく。 一番怖いのって、人間の狂気だ。 まだまだ暑い夏。何重にも捻りを効かせた、背筋ゾクリ、のお話を是非。
お弁当屋さんで働くカノジョは、赤いつなぎのカレが気になる。カレがバイクに乗る姿を見て、免許を取ろうと思いたったカノジョ。さあどうなる、回転し始めた恋心。 読んでいて、わああと叫び出したくなる恋愛小説がこの世にあったとは…! かわいい〜!もう大っ好き!!真白ちゃん本当に好き。グダグダの可愛さに光太郎さんが落ちちゃうの、仕方ない。当然だよ。告白と病院のシーン、私も陥落したよ。一生懸命で強引で不器用で、行動派なくせに引っ込んじゃって。もうイロイロ収まらなくてバイクで走り出したいよ!オマケみたいになっちゃったけど、光太郎さんもほんと良い男。甘い言葉や行為がなくてもときめかせてくれる男性って、なかなか出会えないよ。走り出したいよ!!(大事なことなので二回) レビューになってないですが、こんなに脳内が乱れてしまうくらいとってもキュートなお話です。ほんと好き!悶え死ぬかと思った!!
気を遣わない男女同士で焼肉。悪態はつけるし、煙草も吸える。だってあなたは、きみは、恋愛対象外。 会話が生きてるなぁ…!!それぞれが話す、内容。テンポ。掛け合い。まさに読ませる会話。うっまーい!!とおもっているうちに、そのうまさを越えて、心にしみてくるぬくいものがある。 由仁さんの他のお話を読んでいる身としては、とっても懐かしく感じるものがありました。文章の書き方、詰め方。少しずつ違っても、由仁さんのお話だなぁと思います。 等身大で、ウンウンって共感して、なにかしらの答えをくれて。あったかいのに、丁寧で。由仁さんはいつも、なにかのハジマリの手前を書くのがすごく上手だなぁと思う。 焼肉ジュウジュウ、煙をはさんだ男女の見事な掛け合い(ほんのすこしの駆け引き)と、10頁なのに心がむぎゅむぎゅする感じを、是非!味わってください。
この作者さん、なぜもっと早く読まなかったのか!後悔するくらい、素敵で魅力あるお話。要約が難しいお話なんて、なかなか出会えません。 とても辛い過去と、厳しい現実をちゃんと受け止めようとして、少し心を曲げながらも、生きている男子。女子。彼の、彼女の一挙一動に、心をゆさぶられる。文章に、青春をまるごと投入してるみたい。 淡い好き。名前のつけられない好き。狂おしいほどの好き。そうだよ。好きってほんとに色んな種類があるんだよなぁ。そのかき分けが、もうほんとに見事。青春の絵の具をワッと広げた疾走感はあるのに、文章は繊細で。真っすぐな想いに、ときめかされる。 清見の「だぜ」がすごく好きだ。清見も、朝日も、小雪も、登場人物みんなみんな大好き!小説のキャラクターにここまで入れ込めるとは思わなかった。 大切にしたいお話が増えました。今度は、出てきたピアノ曲を聴きながら読みたいです。
乗り気でない合コンで、出会った男に言い寄られた。言い寄られる、というか。…劇団のヒロインに、スカウトされたといいますか。 お話を読ませてもろて、まず一言。 うまいなぁ…!!あっという間に引き込まれました。スゴイ。 しっかり書き込まれた文章、練られた構成。なのにテンポは保たれたまま。大人小説で中だるみになることなく、最後まで駆け抜けられるって、本当にすごいことだと思うんです。うん、まさしく引力があるお話。 晴海くんはもうとっても素敵。明日香ちゃんと合わさることでより一層素敵さが増す。でもメイン2人以外の登場人物も、誰1人欠かせない方ばかり!個性豊かで、本当に活き活きしてる。この人はこんな性格なんだよ、こういうところもあるけど、すっごく可愛いポイントもあるんだよ!って、紹介しちゃいたいくらい。 いいよ、これ!是非読もう!!意気込んでそう言っちゃいます。
1話目からグッと引き込まれて、気づいたら一気読み。 雨をモチーフにした、大人の短編集。全編それぞれ魅力があるのですが、全体を通して、まさしく『雨』だなぁ、と。 登場人物全員、本心が隠れているから。カラッとした天気のように、相手の気持ちが見えたりしないから。さらけ出してしまったり、隠したままでいるつもりだったのにこぼれてしまったり、隠したままだったり。絶妙です。そういう気持ちの見え隠れの点では1話が好き。お気に入りは2話だったり。 気づいたら一気読み、だったけれど、でも本当は、1つ1つ、じっくり噛み締めて読みたい。 幸せ、切なさ、ドキドキ。与えられる感情全てに余韻が残ります。ぜひご一読を。
ずっと一緒だった幼なじみ。高校生になり環境が変わるにつれ、仲良しこよしの関係に生じるズレ。気づいてしまった想い。 まさに青春。半分過ぎてからはもう止まらなくて一気読みでした。 いつも思うのですが、この方の物語はスーッと心に入ってくるから、素直に受け取れる。素直に共感できるし、まるで自分が高校生になったような気持ちになれる。心地よい。 関係の移り変わり、危うさ。それでも残る絆の強さの表現には、毎度ながらあっぱれです。 最後に一言。読まれた方、絶対皆様同意見だと思いますが。 …真鍋が好きです!!! 爽やかで、季節を駆け抜けていく自転車のような。素敵なお話をありがとうございました。
大学生。濃密な夏。肌を重ねることから始まった、どこか歪な二人の関係。季節が移り変わり、二人が本物になるまで。 この方のお話は、痺れます。読んでいて脳みそが痺れる感じなんて、なかなか味わえるものじゃない。愛の描き方、切り取り方。凄いなぁ。水を含まない絵の具を、何度も塗り重ねたみたいだなぁ。 身体が求めること。心が求めること。それは必ずしもセットではなく、同時にやって来るものでもない。だから、二つの「欲しい」が重なって、さらには自分と相手と、二人分の気持ちが合わさるって奇跡なんだなぁ、と思う。 これは、本物の愛を描いた、奇跡のお話なんだと思います。本物の愛って、汚れていて、でもめちゃくちゃ綺麗だ。
ケンカ後の男の子が、フワフワした雰囲気を持つ女の子に拾われるところから始まるお話。拾われた彼と、拾った彼女。ハジマリと、過去と、秘密ごと。 ーー話したいことが、あるんだ。君を守るために。離れるために。 もうこれ、すっごくオススメ!フワフワしたミルクのようなのに、文章は緻密。キャラが豊か。そしてお話に出てくる全ての事象が、ちゃんと繋がっているんです。置いてけぼりな所がない。ページをめくるたびにあたたかいものが胸にこみ上げてくる。感動。優しさ。キュンとすること。バロメーターが振り切れっぱなし。 わたし、このお話もオミくんも佳柄ちゃんも大好きです。大の大好き。っていうか400字じゃなくてもっと語りたい。このお話は絶対リピート読みすると思う。 拾われた彼と拾った彼女。 救われたのはどちらか?じゃなく、どちらも!で。 偶然?ではなく、幸せな運命。そう思います。
みんなは彼を怖がるけれど、わたしは彼がすき。桜が見られる季節。学生時代の、淡い季節。 …なんて可愛いふたり! …なんて愛おしいお話なんだろう!! 劇的な設定ではないのに、ちょっとした、学校でのワンシーンのはずなのに。 少し読んだだけで、一気にこのふたりが大好きになってしまいました。ああ、もっとお話が続いていたらいいのに。 10ページなのです。なのに、彼女が彼を好きになる過程にウンウンと頷いてします。クマとネコじゃつりあわないかなぁ。この文も可愛くて、すごく好き。 つりあわなくないよ。むしろピッタリだよ。 仲良くお花見するふたりが目に浮かびます。心にほっこり、春を運んでくれるお話。ぜひご一読を。
読み始めてから、読み終えるまで。手が止まらなくてビックリです。 中学生の頃の恋の相手。同窓会で再会して、気持ちが再燃してしまうお話。でもそこには避けられない障害があって。 14歳の、淡い恋。それが蘇っていくさま。大きくなっていくさま。止まらない。止めなきゃ。でも止まれない。 気持ちの書き方が、絶妙でした。だから一気に読んでしまった。 ああ、うん、って。朱理の行動や想いに、頷いてしまった。 がっくり。なみだ。しあわせ。切なかった。嬉しかった。そんな全部を、一緒に体験していました。 点と点が、繋がって線になる。読み終えたとき、私の中にも生まれた、この感覚。 綺麗事ばかりじゃないって知ってしまった。そんな今でも、必死で誰かを好きになることができるんだね。きっと、この二人だからこそ。 月夜もいいけれど、青空も見上げたくなる。素敵な純愛を、有難うございました。
一ページ読むたびに、胸をぞわり、ぞわり。内側から撫でられているような気がしました。 それは、なぜか。きっと私たちは、もう知っているから。 変わらないものなんてない。変わってしまったものが、元に戻るわけじゃない。 結婚して十五年を経た夫婦。今年のクリスマスは賭けだった。あなたをもう一度、愛せるか。あなたに愛されること。幸せを、二人で描くこと。 確かにあったものが、少しずつなくなって。『ない』ことを自分で確かめるのは、心を凍らせるくらい、痛いことで、悲しいことで、でもそれがリアル。 それでも此処に立っていること。考えさせられるお話です。
長く付き合ってる彼氏がいる。しかも、とびきりぶっとんだかんじの。ソファが赤く染められて、唖然と立ち尽くすわたしはもう嫁に行くのに十分すぎる年頃。 とても楽しかったこのお話…!!切なかったり笑ったり忙しくって。 拓、こりゃ女を幸せにしないぞ〜ってハタから見ていて思うのに、主人公が彼を忘れられない。嫌いになれない。むしろすき。大好き。そうなってしまうのが、なんとなくわかっちゃうからニクイ。 二人の間に甘い空気はないけれど、それでもお互いに好きでしかたないのがじんわりじんわり伝わってきて、二人まとめて、お話もまとめて、ギュウと抱きしめたくなりました。 1番好きな人といつも通り、一緒にいられること。それが女の幸せなのかなぁなんて思わせてくれる、フフッとしてニヤッとしてギュウとなる、素敵なお話をありがとうございました!
後半から、涙をボロボロ流して読みました。 神様が出てくるお話。と言ってしまうと、何だかファンタジーな感じになってしまうのですが。そうじゃないなぁ。このお話、もう色んな物が詰まっていて。コミカルな場面。切ない場面。挫折も、焦りも描かれている。でも全てにおいて、どこかに優しさを感じるんです。 そして、『夢』という強いメッセージ。問いかけられた、気がしました。教えてもらった気がしました。 文章がスッと体の中に入ってくる感覚。この作品世界の雰囲気。ほんとにスーッと、入ってくる。だから、気持ちと繋がって、自然と涙が出てしまったのだと思います。 夢は、一人の中で生まれるものじゃない。だれかと繋がることで。気持ちを交わすことで。生まれ、育まれるもの。 ユニークで、いつも人を愛する、常葉が好き。迷うけど、立ち止まるけど、背すじを伸ばせる。だれかを思って走り回れる。そんな千世が、大好きです。
泣いてしまいました…!! 自分でもびっくり。大きな事件があったわけではない。一つの、高校生の等身大の恋愛。それを描いた作品で、こんなに泣いてしまうとは思いませんでした。 好きだ。その文字がキッカケではじまる、ふたりの交換日記。 なんて素敵なお話なんだろう。なんて沢山のメッセージと、気持ちが込められた作品なんだろう。好き。雰囲気も、登場人物たちも、丸ごとギューッと、でもそっと、抱きしめたいくらい大好きです。 人に、伝えるべきじゃないこと。伝えなきゃいけないこと。わたしたちは、迷う。嫌われたくないから。相手に、好かれたいから。だから、ウソをつく。重ねる。生まれる罪悪感。 でもね、そこに生まれたものは、伝えなきゃいけない、大事な大事な気持ちで。 『ホントウ』を伝えられるのは、自分しかいないんだね。最初がウソだったとしても、相手に伝わったホントウは、きっと素敵な奇跡のはじまり。
3つの男女の、3つのお話。 甘い甘い、生クリームをとろりと詰めたようなお話でした。ドキドキ、ニマニマ、お腹がいっぱい。 何に惹かれるのか。いつ惹かれるのか。手をとるのは、今なのか。 あなたを夢に見たりして。わたしのどこがすき?って、改まって聞いてみたりして。 無理して笑って、あきらめようとして。 それでも心にあなたがいて、すこし背伸びして、くちびるを奪う。 登場人物の女の子がみんな、一生懸命、目の前の相手に気持ちを注いでいて。 男の子がみんな、それぞれ魅力的で。あっという間に、読み終えてしまいました。恋愛模様も人物関係も、描き方がとても巧み。 女の子は、食べられるのを待っている。 意地やウソ、見栄、失敗へのおそれ。たくさんのもので、本心を塗り固めているけれど、男の子が一歩ふみこんでくれれば、そこはとてもとても甘いのです。
―ねえ、あの人とあの子が、付き合い始めたんだって。 ―美男美女が、手をつないで帰ってたの。とってもお似合いだよね。 とっても、いいよね。 切り出された、初々しい高校生カップルの日常。 どうしても比べてしまうのです。 あの子は。他のカップルは。 わたし、ココは上でありたかったんだ。女の子だから、そのトゲトゲの気持ちから、逃げられない。 そのトゲに、気づいてくれて。不安を溶かしてくれる彼がとなりにいれば、ちょっとずつ、一緒に進めるね。 日常。でも二人でいれば、それは大切な日で、すこしだけ非日常。 一緒に笑って、歩いていくこと。触れること。 等身大の女の子を可愛いく書き上げたこのお話、わたしはとっても大好きです。