秋風月さんのレビュー一覧
やけにレビューが多いけど、そんなに面白いの? 短編だし読んでみるか、というノリで読ませていただきました。 友人Aとの丁々発止な会話とツッコミに、夜中に独りクスクス笑いながら読み進め、オチに感心し、ジンワリと胸が熱くなりました。 これからケータイ小説を書く人よりも、書いてるんだけど孤独を感じて心が折れそうな人が読むといいなと思いました。私もその一人ですが。 ところで、作者さんは“ゲシュタルト崩壊”でスランプとか。 恥ずかしながら意味を知りたくてググってみたら、なるほど、もしかして“木を見て森を見ず”的な状態でしょうか? だとすると、私も慢性的なゲシュタルト崩壊に陥っているかもです。 ケータイ小説家に幸あれ。
こちらは泉ヒカルさんが企画した「恋瞬バトン」という短編企画の一作。バトン形式で多くの作家様が素敵な作品を書かれていますが、こちらは特に私のお気に入りの作品です。 挿絵が挿入されているのはBerry's Cafeならでは。しかもその小松ヤコさんの挿絵が実に秀逸で、春奈真実さんの軽妙な文章とよくマッチしています。 お話は、オフィスでの恋が始まる瞬間。まさに恋瞬。主任がちょっと喋りすぎかなと思わなくもありませんが(ごめんなさい)、素敵な作品です。 みなさまもぜひ見て、読んでみてください。
以前から香乃子さんのファンでしたが、ヤンキーや族とかは苦手なもので、この作品をなかなか読む気になれなかったんですが、読んでみたら、やっぱり面白かったです。もっと早く読めばよかった…… ヒロインの菜都が天然で鈍感で可愛く、玲人は無口でシャイで、ジレッタイながらもほのぼの、胸キュン…… 自分の作品がクライマックスだというのに、そっちのけで読みふけてしまいました。 今更言うまでもありませんが、素敵な作品です。
綾乃は2年来の恋人、司からプロポーズを受けるが、返事を保留してしまう。 司は優しく、何一つ不満のない恋人。しかしすんなり喜べないのは、達雄という兄の存在があまりに大きかったから。達雄とのキズナを、断ち切りたくなかったから。 達雄とは血が繋がっていない。しかし両親が事故に遭い、綾乃と達雄はずっと寄り添うように生きて来た。実の兄妹よりも強いキズナで二人は結ばれていたのだ。 そして綾乃は、達雄を一人の男としても慕っていた。しかし自分は妹としか思われていない。しかも達雄にも紗彩という恋人がいる。だったら想いを断ち切り、司と生きる道を選ぶべきなのか…… 一方の達雄も、また…… 綾乃視点で、彼女の心の揺れを丁寧に綴った秀作です。 『契約恋愛〜思い出に溺れて〜』のサイドストーリーですが、どちらを先に読んでも楽しめます。 そしてどちらも、めちゃくちゃおもしろいです。
主婦と呼ぶにはまだ若く、新妻というほどウブではない成美。 結婚して3年弱。子どもはなく、交際期間を含め6年来の付き合いになる夫は優しく、何の不満もなかった。ただ、不満がない代わりに、刺激もなかった。 そんな成美の心には、本人も気付かぬ内に隙間が出来ていたのかも。そしてその隙間に入り込んだのは、年下の大学生、慶だった。 二人に恋が芽生えるのに、多くの時間は必要なかった。いけない事と知りながらも、止める事の出来ない想い。 想いに逆らわず、恋に生きる事を選択した二人だったが…… 不倫の言葉で片づけてしまうには純粋すぎる二人の想い。だが、否応なく二人にのし掛かる現実。 果たして二人は、そして成美の夫は、どんな生き方を選択するのか…… 成美と慶の相互視点で綴られた、ある禁断の恋の行方。 リアルな展開に終始ハラハラ・ドキドキの連続。 お勧めです。
ヤコちゃんの待望の新作は、ほんわか暖かいお話でした。 ユーモアたっぶりで、軽妙な展開のため、苦もなく一気に読む事ができました。 舞台は通学電車の中。おそらく中距離電車なのでしょう。関東なら高崎線や宇都宮線、常磐線などを連想しました。 市街地を過ぎ、急に田舎となって乗客はまばら。春の暖かく柔らかい陽射しが若い男女を眠りに誘う。まるで情景が目に浮かぶようです。 そして互いに妄想と勘違いの世界へ突入。どんな結果が待っているのでしょうか。また、キーワードの“キス”の意味は……!? それは、読んでみてのお楽しみです。 (^^;)
久しぶりに坂野さんの作品を読ませていただきましたが、相変わらずレベルが高くて驚きました。書籍化されても不思議はないと思います。 ただ、正直言って“契約恋愛”自体に私は共感できませんでした。そして、英治の身になって考えると、達雄に対して果たして“軽い嫉妬”で済むものかどうか……。 その点が気掛かりでしたが、先が気になり、夢中で読ませていただきました。 作品の素晴らしさについては、他の方がレビューされた通りだと思います。 個人的には、紗優ちゃんがいじらしくて可愛くて堪りませんでした。 少し成長した紗優ちゃんの恋愛話を読んでみたいです。お相手がサトルくんなら、更に嬉しいかな。 (^^;)
こちらは『キミがいた夏〜最後の約束〜』の続編です。未読の方は、まずはそちらから読まれる事を強くお勧めします。 正編もこちらも、かなり読みごたえがあります。しかし無駄のない描写と、流れるようなストーリー展開に、苦もなくページをめくる。そんな魅力ある作品です。 正編はヒロインの一人称でしたが、こちら続編では、渚と、小学生の頃からずっと側で美鈴を見つめて来た親友である綾香の、交互の視点で綴られています。 それはなぜか…… そこに、作者の緻密な計算があるのです。(言い方が良くないですかね) とにかく、ポイントはそこなんですね。 正編の衝撃的なラストから4年後。美鈴はどう変わったのでしょうか? あるいは変わってないのでしょうか? 先が読めず、ハラハラ、ドキドキの連続ですが、読んで後悔する事はまずありません。そう自信をもってお薦めできる秀作です。
私が今、最も注目する作者の最新作である本作は、企画参加作品のラブコメ。 タイトルは、ちょっと昔の人気映画『私をスキーに連れてって』をパロったものだろう。 限られた設定の中、オリジナルのキャラで、いくつもの伏線を張り巡らせ、魅力的なヒロインとヒーロー、それに特徴のある脇役達を生き生きと描き、ユーモアの中にしっかりとテーマがある。そんな作品です。 しかもこれだけの作業を短期間でやり遂げ、「つまらない作品」と言ってのける。この作者の伸び代は、計り知れません…… 作者曰く、“褒められて伸びる子”だそうですから、褒めて褒めて褒め倒して、どんどん楽しい作品を書いてもらいたいと思っています。 (^_^;)
いがみ合い、罵り合う、ライバル同士の秋穂と東吾。 大嫌いな相手なのに、何でときめくの? 戸惑いながらも、大嫌いが実は大好きの裏返しだった事に気付いた二人の、怒涛の24H! 相互視点で軽快に綴られた、極甘のラブコメディ。 これを読んで、ほんわか胸キュンしちゃってください。
コウは、大学受験を間近に控え、部活引退前のバスケにエネルギーを費やす、ごく普通の高校生だった。 そんなコウは、ある日出会ってしまった女性、咲妃の魅力に、一遍で心を奪われてしまう。 しかし彼女は、事もあろうに彼が最も軽蔑していたプレイボーイの兄の新しい恋人。しかも、コウより8つも年上だった。 好きになってはいけない存在。 そう分かってはいても、コウの咲妃への想いは止められない。 咲妃もまた、心優しいコウに惹かれて行く…… やがて二人の想いはぶつかり合い、ついには一線を越え、禁断の領域へと進むのだが…… 浮気と呼ぶにはあまりに切なく純粋な二人の恋を、コウの視点でリアルに綴った感動のドラマ。 果たして、その結末は…… 久々に小説を読んで心が震えました。 恋愛小説ファンには、ぜひお薦めしたい作品です。
前作「彼を捕まえろ!」では、作者のユーモアのセンスと文章力の高さに感心しました。 その続編「俺様彼氏の説明書」では、更に構成力の高さに感心をしつつ、作者の優しい心を知る事ができました。 “この作者のシリアスを読みたい” そう思っていました。 実はこちらの作品こそが、作者の処女作との事。 作者は謙遜していますが、とんでもない。処女作でこのクオリティーの高さは驚愕ものです。 長編なので読みごたえはあります。 しかし適度な描写と、しっかりと構成され、流れるようなストーリー展開。そして、それぞれ味のあるキャラ達の生き生きとした会話で、知らず知らずにページをめくって行く、そういう魅力ある作品です。 最後に作者へお願いです。 続編を楽しみにしています。“ああしてほしい”という希望はありますが、それは敢えて言いません。あなた様の感性を信じ、着いて行きます。
鳴瀬さんのお宅に比べると一人少ないのですが、わが家にも三人の息子達がおります。 もう親の手が掛からないほど成長したのですが。 育て方はいろいろと間違えてしまいましたが、みな優しく、仲が良いのだけは良かったなと思っています。 それにしても、家事に子育てに忙しいはずなのに、鳴瀬さんの執筆速度は驚異的ですね。脱帽です。 これからも頑張ってください。そして鳴瀬家に幸多かれと、影ながらお祈りいたします。 あ、私もイケメンエリート、頑張って書いていきます。 (^^;)
“ブラック”って、何だろう? そう思いながら読みはじめると、いきなりのエッチシーンで始まり度肝を抜かれました。 しかしそのシーンは、主人公のヒロインにとっては、残酷なシーンなのでした。 後はそれこそ“一気”にストーリーへと入って行く事が出来ました。 読みやすい文章で、ページ数の割にはサラッと読めます。 しかし作者が作品に込めたメッセージは、決して軽くはありません。 大切なものは何かという事を、改めてこの作品で考えさせられました。 ぜひあなたも読んでみてください。そして何が大切なのか、考えてみませんか? もし途中で挫折したら、“あとがき”だけでも読んでいただきたいと思います。
やっと捕まえた斗真くんだけど、恋愛初心者の菜々子には、彼をどう扱ってよいのか分からなかった。 モテ男で俺様な男を扱うには、取扱説明書がいるようです。 あら、大変! 下級生の美少女が、斗真くんを狙ってるわよ。 果たして菜々子は、美少女から斗真くんを奪い反すことができるんでしょうか。 そして彼の取扱に、成功するんでしょうか…… 一途で優しく、ヘタレなヒロインにハラハラし、時にじれじれしながらページをめくりつつ、優しさは時に残酷なものなのかも、と思ってみたり。 ラブコメとなっていますが、内容は思いっきりシリアスです。 もちろん甘さもありますよ。 本編の「彼を捕まえろ!」共々、自信を持ってお奨めする秀作です。
“ドキがムネムネして心臓から口が飛び出して……” 元気で前向きなヒロイン、倉田菜々子は、99パーセントは顔に惹かれた“彼”工藤斗真の前で、目一杯テンパってしまいました。 そんな、思わず笑ってしまうエピソードから、菜々子の前途多難な恋の物語は始まります。 俺様でエロくてモテ男の斗真ですが、惹かれた残り1パーセントに賭ける菜々子。果たして彼を捕まえる事ができるんでしょうか……? ヒロインの元気で前向きで、天然で鈍感で優しくて泣き虫という、何とも多様な性格が、作品をより魅力的にしているようです。 脇役陣も個性があり、更に物語に花を添え、深みを増しています。 ラブコメだけど、面白いだけじゃない。 笑いあり涙あり、ハラハラ、ドキドキ。そして胸キュンの珠玉のラブストーリーです。 ぜひ読んでみてください。自信を持ってお奨めいたします。
いくつか予想した展開や結末は、全てハズレでした。 やられたー、という感じ。 深く考えると色々思うところはあるけど、まあ、それは置いといて、作者さんのユーモアに拍手! あなたは見破れますか? ぜひ挑戦してみてください。
気付けば彼女に異変が…… 突然大切な髪を切ってしまった彼女。 そう言えば、いつの間にか飲み物の好みも、好きな花も変わっていた。いったい彼女に何があったのか…… その事に気付き、やがて真実にたどり着く彼。実は彼には悲し過ぎる過去があり、勇気を試される事に…… 彼の目線で彼女の真実を探る展開。私の予想は見事に外れ、驚くべき真実がありました。 運命か宿命か。 私が彼女だったら…… あるいは私が彼だったら? 優しさとは? 勇気とは? そして、愛とは何か…… 様々なことに思いを馳せました。 ミステリー仕立てのちょっと異色なラブストーリーです。 あなたもこの謎解きに挑戦してみますか? では、涙を拭くハンカチなどを用意してから、どうぞ……
御曹子と普通のOL。しかも互いに婚約者がいる二人。 言葉を交わした事もない二人が、ある日ある所で出会ったのは、果たして偶然なのか、はたまた運命なのか…… 激しく惹かれ合う二人に立ち塞がる高い壁。果たして二人の運命は、いかに…… 極上の胸キュンラブストーリー。 甘さも切なさもハンパありません。ハンカチを用意した方が良いかもです。
料理が上手で、何事もそつなくこなし、そこそこにはモテるのに恋に奥手な梓。 モテモテで見かけは爽やかなのに、中身は俺様で、しかし心の優しい綾人。 ガリ勉で地味で真面目だけど、意外に不器用で可愛い女の子の紫穂。 そんな3人の高校生が織り成す、初々しく、じれったく、ほのぼのとした青春ラブストーリー。 レシピ仕立てのおしゃれな章立てに、作者のセンスを感じます。 シフォンケーキは……別として、きっと美味しい料理が出来たはずです。 どうぞ、お召し上がりください。